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2012年8月13日更新

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人気コミックを実写化した『るろうに剣心』で、主人公の剣心のバディである相楽左之助を爽快かつ豪快に演じている青木祟高。さまざまな作品の中で、その存在感を増してきている俳優の、仕事への取り組み方を聞いた。

大友作品では何かを超えないと意味がない

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── 『るろうに剣心』の監督は、大友啓史。本作のオファーを受けたとき、青木はNHK大河ドラマ『龍馬伝』で体験した大友監督の演出を思い出し、興奮したという。

「大友さん、(剣心役の佐藤)健、(観柳役の)香川照之さんといった『龍馬伝』でご一緒した人たちと、全然違う作品をつくることになるんだろうな、それはすごく面白そうだな、と思ったんです。『龍馬伝』で、自分の経験や芝居、信条を大友監督からむちゃくちゃにされる感覚があったんですよ。大友監督は、『ここでこう動いて』というタイプの演出ではなく、役者を信じて、自由に芝居をやらせてくれる方。それは逆に、『お前はどこまでできるんだ?』と挑発されていることでもあって。今回、また違う役であの感覚になれるのが嬉しかったです」

── 演じる役柄は相楽左之助。背中に「悪」の一文字が入った半被を羽織り、巨大な斬馬刀を振り回す豪快なケンカ屋は、原作でも一、二を争う人気キャラクターだ。原作者の和月氏が太鼓判を押すほどのなりきりぶりだったが、青木は「原作のことは一切考えなかった」と言う。

「原作の絵柄に似せようという意識はまったくありませんでした。もしもそう見えたとしたら、それは衣装さんやヘアメイクさん、持ち道具さんのおかげだと思います。似てるとか似てないとかって、きりがないじゃないですか。ただ似せたいだけなら、顔が漫画に似ている人を連れてきてコスプレさせればいい。でも、これはやっぱり映像だし物語だし、人間が動いてつくるものだから、漫画では描ききれない静止画の前後感や匂いとかを出さないといけないと思います。だから僕は、左之助の精神性やアクションには絶対的な責任感をもって取り組みました」

── 特に、注力したのはアクション。クランクインまでの準備期間、彼のスケジュール帳には毎日のように「アクション」の文字が綴られていた。

「大友さんの作品では、何かを超えないと意味がない。今回は、ケンカ屋の左之助としてそこに立つ、それだけを考えました。内面の部分としては、戦いというものに対してフェアで、気持ちのいい左之助のことを好きになれたので、『よくわかんねえな』ということはなかった。アクションに関しては、ここまでちゃんとしたものをやるのは初めてだったので、最初はぜんぜんうまくいかなかったんです。僕はまず、イメージをつくってから動くタイプなんですけど、今回はイメージができなくて。すると監督が、『今回はまず身体を動かすことでイメージをつかんでいく役だと思う』とおっしゃった。それが定着するまでにはけっこう時間がかかりました」

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── その結果、左之助=青木は、元格闘家の須藤元気が演じる戌亥番神とのタイマン勝負でバックドロップを決めるなど、ある意味、一線を超えたアクションを成功させている。

「理屈じゃなかったですね。撮影前から左之助モードに入っていたし、他のキャストの方々もそうだったと思います。京都で撮影していたこともあって、撮影が終わってみんなで御飯を食べに行っても、ホテルに帰っても、24時間ずーっと「るろう」に関わることができた。これが東京だったら、家に戻った時点でスイッチがオフになると思うんですけど、オンになったままだったんです。今振り返ると、二ヵ月間、アドレナリンが出っぱなしでしたね。みんな、相当イカれていたし、出来上がったものを観ても、イカれてるなーって(笑)。エネルギーが詰まりまくってるし、温度が高い。この作品、俺はすごく好きです」

「自分ごときが」という客観視を忘れない

── 青木の逞しく大柄な肉体は大きな魅力。それは、左之助はもちろん、NHK大河『平清盛』の鬼若(後の弁慶)や、11月に公開される『黄金を抱いて翔べ』で演じた裏社会を仕切るキング役などに、説得力を与えている。彼自身、自分の肉体性を武器だと思っているのだろうか?

「いえ、僕自身はあまり考えていないです。20代前半は、そんなにごつくなかったし、ヒョロヒョロしてましたよ。ただ、監督や演出家、脚本家がその作品にほしい役柄のイメージに合わせて身体を作っていっただけ。それが『あまりいない存在』と思われるのであれば、ラッキーかなーというくらいです」

── 俳優という仕事を始めて約10年になる。着々と、「求められる個性」としてその存在を確立しつつある。

「名前もないような役を自分なりに必死にやって、『面倒くせえヤツだな』と思われていた時期もあるからこそ、今みたいに、自分の意見を聞いてもらえる現場に入れることをありがたいなと思います。でも、自分が未熟なのは変わらないと思っています」

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── そんな彼が感じる、仕事の醍醐味とは?

「作品や役が変わるたびに、アプローチの方法を模索すること。絶対的な正解があれば楽ですけど、ないから苦労するし、それが面白いんですよね。毎回、役に向き合うたびに『こいつってすげえな』とか『人間って滑稽だな』とか、自分の想像の範囲を超えた発見があります。そうやって準備しても、9割は現場での対応力がものを言うところも面白い。ガチガチに準備したものを全部だそうとしたら、作品をよくするのではなくて自己満足だけを求めている、ヘンなヤツになっちゃいますからね」

── 青木は役に対して、その都度、全力でゼロから向き合う。全力疾走の短距離走を繰り返している彼は、ゴールを設定していない。

「終わりを設定しちゃうと、無意識にパワーをセーブしちゃうんです。僕の場合は、気がついたら長距離走ってた、くらいのほうがベストかな、と。自分ごときが相当努力しなきゃダメってことくらいはわかってますから、一作品ごとに、『これが最後』くらいの緊張感でやってます。それは『俺みたいなもんがどこまでできるんだろう?』という微かな希望への挑戦だったりする。だから、『自分は役者です』みたいな安心感からは自分を遠ざけておくように意識して、常に危機感をもつようにしています」

Writing:須永貴子

INFORMATION

MOVIE

「るろうに剣心」

2012年8月25日(土)全国ロードショー
8月22,23,24日先行公開決定

原作:和月伸宏、監督:大友啓史
出演:佐藤健、武井咲、吉川晃司、蒼井優、青木祟高、江口洋介、香川照之、ほか


▼公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/rurouni-kenshin/index.html

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(C)2012 映画「るろうに剣心」製作委員会

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