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2012年12月28日更新

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数々の美しい恋愛映画を紡いできた行定勲監督(『GO』『世界の中心で、愛をさけぶ』『春の雪』)の最新作『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』。大人の男女が繰り広げる、時にコミカルで時に狂おしい愛の姿――。行定作品のファンだという藤本泉は、記念すべきスクリーンデビューとなる本作でどんな新しい顔を見せてくれたのだろうか?

この作品は私にとって勉強になることばかりでした

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── 本作での藤本は気が強く、言ってみればかなり感じの悪い“萩原ゆかり”という若きシングルマザーに挑戦。行定監督はオーディションで出会った藤本に、強い印象を受けたというが…。

藤本「もともと私は行定監督の『GO』や『今度は愛妻家』などの作品が大好きで、オーディションを受けた時も「こんなチャンスはもうない!」というくらいの思いでした。でも実際監督にお会いしたら、お会いできたことに満足する気持ちになってしまって(笑)。ゆかりはかなり難しい役どころだったので、私に決めていただいた時はすごく嬉しかったです。」

行定「ゆかりって脚本には書かれてないんですけど、井上荒野さんの原作を読むとかなり壮絶なバックボーンがあるんですよ。子供の父親は(永山絢斗さん演じる)茅原優というとんでもない男で(笑)、この男は高校時代に同時に2人の女性を妊娠させてる。そのうち1人は自殺。生き残って周囲の反対を押し切って子供を生んだのが、ゆかりなんです。そんな背景がある役なので、逆に意外性のある人に演じてもらいたいなと思っていて。いろんな女優さんがオーディションに来てくれましたが、藤本さんだけ異質な感じがしたんですよね。確か、黒い服を着てたよね?」

藤本「はい。精一杯年上に見えるように…。」

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行定「そう。最初藤本さんを見た時、なんでこんな若い子を呼んだんだろう?って思ったんです。年齢的にも設定的にも、正直藤本さんは“ないな”と。だけどいざお芝居をしてみると、しゃべり方に変なクセがあってなんだか気になった。それに他の方はオーディションだからってどこか構えてたんですが、藤本さんにはそれがなかったんです。」

藤本「それは…いいのかな?(笑)でも緊張はしてましたよ!私、緊張すると早口になるんです。」

行定「すごい早口だった(笑)。でもその妙な雰囲気がゆかりにフィットして、“あ、ゆかりってこういうヤツかもな”って思えたんです。確か『負けず嫌いですか?』って聞いたんですよね。」

藤本「はい。『負けず嫌いです』と答えました。」

行定「気が強そうな顔をしてたし、それがゆかりには必要だったんです。実際、気が強いでしょ?」

藤本「…はい、たぶん(笑)。」

行定「ただオーディションの時の芝居が一番よかったんですよね!」

藤本「あ~!(涙)それは…。」

行定「いや、よくあるパターンですから大丈夫(笑)。」

── 「オーディションの時が一番よかった」それだけ聞くと辛らつな言葉のようにも聞こえるが、行定監督は逆にそのスタート地点へ藤本を丁寧に導いていった。初の映画、そして初の行定組は藤本にとって刺激に満ちたかけがえのない時間となったようだ。

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藤本「私、オーディションの時から現場に入るまでの間、ゆかりっていう人を考えて掘り下げて自分なりにいろいろ作っていっちゃったんですよ。周りも大ベテランのキャストの方々ばっかりだったし、その中で自分が考えてきたことをなんとか出そうとしちゃって…。監督は私が気負い過ぎてることを、完全に分かってらしたと思います。」

行定「ゆかりって基本、かっこつけた女なんですよね。自分がここまで苦労してきてやってきたことを、お涙ちょうだいで語らないことがかっこいい…というポリシー。でも実はそれもフェイクで、本当は分かって欲しいからわざわざ大島の優のとこまで会いに行く。そのフェイクが真実になってはいけない、本当の人になってはいけない。でもそれを撮影中の藤本さんにはあえて言わず、わけが分からなくなるまで何度も何度も撮ったんです。」

藤本「そうなんです!“ゆかりってこういう人だ、ぶれないようにしなきゃ!”って自分の中で考え過ぎてわけが分かんなくなっちゃったんですけど、そのシーンが逆にOKだったりして。『今のでよかったんですか?』って監督に聞いたら、『その分かんなくなったところを撮ってたんだよ』って言われてビックリしました。」

── ゆかりの母親としての未熟さ、優との関係性などについても2人の考えを聞いてみた。

藤本「ゆかりは母性にあふれた母親じゃなくて、子供と対等でいようとしてる気がしました。例えばドアを開ける時も『おいで~』って開けておいてあげるんじゃなくて、そのまま手を放しちゃうような母親。私より年上の設定ですけど、子供っぽいですよね?」

行定「うん。でも未熟っていえば、この映画に出てる人はみんな未熟ですけどね。愛情とか痴情が混じると、年齢は関係ないなと思う。ゆかりも子供っぽいかもしれないけど、ゆかりからしたら他の人たちが子供に見える。」

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藤本「それは確かに感じました。早くに子供を生んでるからかな。」

行定「『私、この若さでこれ(母親)だから!』って披露したい人(笑)。」

藤本「(笑)。たぶん(真木よう子さん演じる)優の恋人の百々子とかには、特に言いたいんだと思います。今回、優がとにかく無責任な人だったからなぁ…。でもどこか許せちゃう部分もあるし、ゆかりもそうだったんじゃないかと。」

行定「あそこまで自分勝手だと誰も責めないよね(笑)。優はどんな状況でも女性と関係を持てる男。ゆかりもそういう男だと分かってたんじゃない?」

藤本「それを確かめに、わざわざ大島まで行ったのかもしれないですね。」

── 気負うことをやめて、ただ役を生きること。藤本の「真っ白になった瞬間」を切り取った行定監督は、彼女の今後の女優人生に期待を寄せる。

行定「確かに現場に入ってきた時は、オーディションの時からするとマイナスからのスタートだったけど(笑)結果素晴らしいゆかりを演じてくれたし、偉そうな言い方をすると及第点は確実に超えています。」

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藤本「ありがとうございます!本当に最初はいろいろ考え過ぎちゃってて…。この作品は私にとって勉強になることばかりでした。」

行定「あんまり深く考えなくていいんだと思う。それはこっちが決めることだからね。ただ監督側から意見を求められたら、一応自分の考えは用意しておくくらいでいいんじゃないかな。役というのは自分でこうだ!と決めると、たいていろくなことはないから(笑)。これからの活躍に期待しています。」

Writing:遠藤薫

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INFORMATION

MOVIE

『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』

1月26日(土)全国ロードショー

原作:井上荒野(新潮文庫刊)、脚本:伊藤ちひろ・行定勲、監督:行定勲

艶という女と大島に駆け落ちしてきた松生春二は、奔放な妻の不貞に悩まされ続けてきた。そんな艶が病に冒され、昏睡状態に。松生は、何度裏切られても献身的に愛してきたが、彼女を失うことに耐えられない…その時、過去に艶が関係を持った男たちに、愛の深さを確かめようと思いつく。
東京で一見平穏な生活を営む何組かのカップル&家族に突然もたらされた、艶の話。それを聞いた夫の、恋人の、父のそれぞれの様子から、艶という未知の女との肉体関係を感づいてしまった女たちは、突然自分たちの人生に割り込んできた艶という存在に困惑する。
目の前に見えているはずの「大切な人」が知らない顔を見せた時、人は愛を確かめ、見つめ直す―――。


▼公式サイト
http://tsuya-yoru.jp/

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(C)2013「つやのよる」製作委員会

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