shadow

prev

next

写真

UPDATE

  • はてなブックマーク
阪神・淡路大震災から20年、東京から神戸へ越して来た震災の年に生まれた女子大生・桂と、震災の記憶を心の奥に刻みながらも“いまを生きる”神戸の人々との交流を描いた映画『神戸在住』。本作でヒロインの桂を演じた藤本が、撮影を通じて改めて心に抱いた想いとは──。

“風化させてはいけない出来事”を伝えていくのも
女優のお仕事の使命なのかもしれないですね。

写真

―― 『神戸在住』で藤本が演じたのは、親の都合で東京から神戸へ越して来たナイーブでセンシティブな女子大生・辰木桂。慣れない土地で戸惑いながらも奮闘する健気な姿が印象的だ。

「桂のイメージですが、まずはこの映画の原作でもある漫画『神戸在住』に出てくる彼女の雰囲気を壊したくないなと考えていて…それは、撮影中もずっと思っていました。さらに、映画の中の桂はよりいっそう内気で繊細な子として描かれていたので、その辺りのバランスに心を配ってキャラクターを創っていきました。桂はただでさえ内気なのに、学校の仲間はみんな関西人で関西弁を喋っていて、自分だけが関東の言葉遣いというところでもすごく疎外感を受けるんですよね。実は撮影現場も実際にスタッフさんも役者さんもみんな関西弁で話していて、私だけ標準語という環境だったので…桂の気持ち、すっごくよく分かりました。桂の台詞で“みんな普通に喋ってても笑い取るんだね”って驚く場面があって、それもほんとにその通り!って共感しちゃいました(笑)」

―― 引っ込み思案の桂の心の支えは、東京にいる頃に出会った一枚の猫の絵。その絵の作者、イラストレーターの日和(菅原永二)が神戸にアトリエを持っていると知り、ひとりで彼を訪ねていく。そして桂はアーティストならではの繊細な心を持つ日和に恋をするが、日和は深刻な病を抱えていた。

「日和さんと桂の関係って、ただの恋愛関係とはちょっと違うんですよね。桂にとって日和さんは“人生の道しるべ”なんです。桂が最初に日和さんに会いに行ったのはホントに勇気を振り絞った行動だったし、そんな桂を受け止めて“昔の自分を見ているようだ”と言ってくれた日和さんも、親しくしてくれるまでにはすごく複雑な感情があったんだと思うし…。監督さんとも“ここは単なるラブストーリーにはしたくないよね”という共通認識があったので、ふたりの心の交流は本当に繊細に丁寧に表現しました。特に、日和さんの死を受け入れられない桂が体験する“現実と地続きの幻”のようなふたりのシーンは思い入れが強くて…不思議で素敵なシーンになったと思っています。桂がちょっとでも成長できたのは、やっぱり、日和さんとの穏やかな時間があったからなんでしょうね」

写真

―― 慣れない環境の中、自分の手で新しい世界の扉をひとつひとつ開いていこうと毎日を過ごす桂は、なにをするにも普通の女の子よりちょっとスローペース。桂のそんな“生きるテンポ”に寄り添うように独特の緩やかなリズムで流れていく映像世界は、観客をいつもよりも少しゆっくりで温かな時間へと導いてくれるよう。そしてふと感じるのだ。人間って案外みんな、こんな風に不器用なのかもしれないよね、と。

「私自身、こんなに繊細な女の子を演じたのは初めてでした。不器用ながらなんとか目の前の事柄をひとつひとつクリアしてくような…“本当に大丈夫なの?”って、心配過ぎて目が離せない存在の女の子。難しいところもありましたけど、とても愛おしくもありましたね」

―― また、大学の友人であり、関西のノリでいつも桂を励ましてくれた元気な3人娘、洋子(浦浜アリサ)・タカ美(松永渚)・和歌子(柳田小百合)も、桂の心を開いてくれた大切な存在だ。

「同世代同士だったので撮影中本当に仲良くなれて、とても賑やか…というか、私たちが集まるとたぶん、うるさかったと思いますよ(笑)。最後のほうで桂が初めてみんなの前で悲しみの気持ちを開放し、涙を流すシーンがあるんですけど、あそこは実際に仲良くなれていたからこそ出来たシーンだったなって思います。桂に素敵な友だちができて本当に良かった」

写真

―― そして本作のもうひとつの主人公が、物語の舞台となっている“阪神・淡路大震災から20年を迎えた神戸の街”。映像の中には“いまを生きる”若者たちの眩しい姿と共に、震災の記憶と痛みを抱き続ける大人たちの生き様、また、大震災から確かに再生を遂げた神戸の街そのものと、土地に宿る静かだが力強い未来への希望がくっきりと刻まれている。

「私自身、震災のときはまだ3歳くらいでほとんど記憶がありませんし、実際に神戸でロケをしていても、こんな綺麗な場所でそんなに大きな地震が起きたなんて信じられないくらいでした。ナレーションにもあるように、神戸はいろんな要素といろんな魅力がたくさん詰まったすごく素敵な街なんです。でも、モニュメントのある公園(1.17希望の灯り・三宮東遊園)で撮影したときにも思いましたが、現実にあったことについては誰かが伝えていかないといけないし、自分が知らないことや体験していないことでも、風化させてはいけない出来事はこの世界にたくさんあって──阪神・淡路大震災もそのひとつですよね。なので、お芝居や作品を通してそういうことを観客のみなさんに自然に伝えていくということも、私のお仕事のひとつの使命なのかなって、改めて考えさせられました。この『神戸在住』も、震災を経験した人たちに伝える物語ということにとどまらず、震災を経験してない地域の方々や、経験していない私たち世代…様々な方に観て頂きたいと強く願っています」

写真

―― 『神戸在住』の劇場公開日は、震災の起きた日と同じ1月17日。そして、同日にはサンテレビジョンにてテレビ放送版の『神戸在住』もオンエアされる。

「テレビ版はより桂の視点に沿って編集されたドラマとなっていて、映画版とはまた違う角度から『神戸在住』を味わえる創り方になっています。これは本当に私個人の考えなんですが、桂にとって日和さんの死は悲しいし、ショックですし…とても一言では言い表せない、人生の中での“大きな出来事”として一生心に残る衝撃的な事実で、それは桂を取り巻く神戸の人々にとっての震災とリンクするんじゃないかなって。だから、この『神戸在住』はホントに観る方によって様々な捉え方の出来る物語なんですが、“大切なモノを失っても前に進まなくちゃいけないんだ。たくさんのモノを失っても前に進まないといけないんだと”いう強い思いは共通して伝わるメッセージになっていると思うんです。観終わった後、みなさんがなにか前向きな気持ちになってもらえたなら嬉しいです」


Writing:横澤由香

インフォメーション

写真
(C)2014木村紺・講談社/サンテレビジョン

MOVIE

『劇場版 神戸在住』

2015年1月17日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル神戸、テアトル梅田他全国順次公開

▼公式サイト
http://www.is-field.com/kobe-zaiju/index.html

TV

『神戸在住』

1月17日(土)20:00~21:30サンテレビジョンにてO.A

▼公式サイト
http://www.sun-tv.co.jp/kobe-zaiju

物語の主人公は、神戸の大学で美術を学ぶ東京出身の辰木桂(藤本)。ナイーブな性格で、関西気質への違和感もあってなかなか心を開くことができない彼女は、ある日、車椅子のイラストレーター日和洋次(菅原永二)と出会うことで心境に変化が生まれる。しかし、桂は洋次が命の砂時計を刻んでいることを知ってしまい……。

「スターダストWEB」にてプレゼント&動画配信中!

写真
インタビューをご覧頂いた方の中から抽選で2名様に、直筆サイン入りチェキをプレゼント!
さらに、ここでしか見れないコメント動画も配信中!
詳しくは、フューチャーフォンorスマートフォンからアクセス!!
※チェキプレゼントの応募締め切りは2015/1/25(日)23:59までとなります。
http://stardust-web.mobi/
写真

pagetop

page top