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早織の最新作は、劇団「毛皮族」を設立した江本純子が初メガホンをとり、自身の自伝的小説「股間」を基につづる赤裸々な恋愛ドラマ。演じるのは、女たらしの女性演出家、重信ナオコ。新進気鋭の劇団を舞台に、9人の女性と関係を持つナオコと、彼女を取り巻く女たちのむき出しの嫉妬や欲望が交錯する本作で、今までに演じたことのない役を演じ切った。

私自身の生きざまを問われる現場で、この作品の撮影を境に生まれ変わった気分です

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―― 『過激派オペラ』で演じる主人公、重信ナオコは、「女たらし」の演出家。短気で、才能あふれるカリスマの彼女が、劇団員を愛し、抱いて、罵りながら演劇を創っていくさまを、感情も身体も剥き出しにした熱演で魅せ、90分間一度も目が離せない。

「この作品はオーディションを受けて出演が決まりました。ラブシーンがとても多いので、そこに挑戦することが大変なんじゃないかと思われると思うんですけど、ラブシーンは登場人物が生きている中で必然なことなので躊躇する気持ちはなかったです。もちろん難しいことではありましたが、脚本がとても面白く、どうしても重信ナオコという人間を演じたいと思いました。物語の中で重信ナオコはたくさんの女性を魅了しますが、私も彼女に強く憧れました。ナオコはだめなところまでもが魅力と言っていいぐらい、そうそう出会えないキャラクターだと思います」

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―― しかし、熱望する役を前に、早織はこれまでのキャリアの中で培ってきたものをすべて覆されるような経験をすることになる。

「クランクインの前に6日ほどリハーサルがありました。私や相手役の春を演じる中村有沙さんや劇団員たちを演じる方々と、劇団としての関係性をつくるためのリハーサル。私は劇団の主催者であり、重信ナオコという役を引き受けるというか、演じなければならなかったのですが、役を演じる前に自分自身ととことん向き合わないといけなかった。それが今までにないほど辛い作業となりました。13年ぐらい仕事をしてきましたが、長いキャリアがあることでついていた皮下脂肪的な自尊心が邪魔をしたんです。監督にとって、役者が自立していることが一番大切なことだったので、私の甘い部分を徹底的に突かれました。それは私にとって初めての経験で、監督の追求のされ方には非常に混乱しました。そして、混乱状態から抜け出せないまま、初日に入ってしまって。なので演じきった感慨というのが、撮影が初めってからも終わってからもなかったですね(苦笑)」

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―― 早織から見て、共演者たちは「自立していて、かっこよく見えた」とのこと。

「共演者の方々は、私よりも全然自立していて、その場にしっかり立って生きていました。みなさんには本当に助けてもらいましたね。私がしっかりしていない分、周りのみんながフォローしてくれて、劇団の関係性ができていきました。もともとあった脚本と監督のイメージしてたものは、もっとナオコはみんなを牽引する強いキャラクターでしたが、情けない部分が出たのは私のパーソナルな部分が影響したんだと思います(笑)。一人ひとりが自立して動いているからこそ生まれる全体の動きを監督は求めていたのに、私はなかなか応えることができず…。みんな本当にかっこいいし、すごく面白いんですよ。シーンごとの、それぞれのリアクションも笑えるので、一人ひとりに着目していただきたいです」

―― 江本純子監督の印象と、監督への思いはーー?

「監督はとても鋭い方。イメージしやすいとしたら教祖と向かい合って精神問答をしているような感じでした(笑)。言われることが真、核を突いているから、逃れられなくなってしまう。答えたいけどすぐには答えられない。監督とはその後、初号のときに挨拶をして、打ち上げの日は仕事があったので、ゆっくり話せていないし、何を話したらいいかわからなくて。尊敬していますが、揺るぎない恐烈さ故に嫌だと反応する心もあって、愛憎という感じですね(笑)」

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―― 2015年夏に撮影された本作。この夏を境に、「生まれ変わったような気分」と語る。

「裸になることは半端なウソがつけなくて、自分自身の生きざまを問われる現場でした。2015年の夏前と後では、私自身違う人間になったような、生まれ変わったような気分です。撮影が終わってからも、この作品のことはかなり引きずりましたね。そのあと自分の中で停滞感があり、まず一旦は忘れたほうがいいとマネジャーのアトバイスもあって、次のお仕事に全力で挑んで違う空気を入れました。映画の世界に同一化していたものから抜け切ることができたと感じたのは年が明けてからです。そんな経験は初めてのこと。苦しかったけど、かけがえのない貴重な経験となりました」

―― ナオコや春の演劇への熱い思いも伝わってくる。早織は、ナオコや春たちの思いに共感したり、重なる部分はあったのだろうか。

「監督に言われたのは「何のために頑張るの?」「演技するのは誰のため?」「誰に発信したいの?」って。そこが一番胸に残っています。また、監督には、私の芝居は、形ばかりで思いが伝わってこない、感情が解放されていないと何度も言われました。この言葉をきっかけに、お芝居に対する向き合い方がもっと深い方へ変わったんです。役へのアプローチは考え続けるべきだし、自分の臆病さに向き合うようになりましたね。これまで自分は甘いって思ったことがなかったけど、そう思ったことがなかったことが甘かったんだなって。終わった直後は誰かがお芝居をしているのを目にするのも嫌だったし、私が好きって思っていた気持ちさえ何だったんだろうって思いに苦しみましたが、懐疑したことで、素敵な映画や演劇により触れたい、楽しみたい、学びたいという思いも生まれました」

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―― 90分熱量が一瞬も途絶えない。だからこそ、観る側も本気になり、一瞬も目が離せない傑作が仕上がった。

「人には「絶対笑える青春映画です!」とおすすめしています。ナオコもですが、春も熱量がすごい。彼女の何が何でも舞台で生きて行くという剥き出しの感情や、ナオコと春の本気の喧嘩は引いてみると可笑しい(笑)。喧嘩のシーンは撮影最後の日で、私も中村さん二人とも疲労でボロボロで、足に怪我していて走れない中、演じました。めちゃくちゃになりながら、真剣にやっているからこそ面白い。この映画にはそういう本気、真剣なシーンしかありません。最高に笑えて面白い映画なので、たくさんの方に観ていただきたいです。映画を観たら、きっと元気をもらえると思います」





Writing:杉嶋未来

インフォメーション

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(C)2016 キングレコード

MOVIE

『過激派オペラ』

10月1日(土)テアトル新宿にて公開、以降全国順次上映


演出家の重信ナオコ(早織)は劇団“毛布教”を主宰し、初上演作「過激派オペラ」の出演者のオーディションを始める。ナオコはオーディションを受けにやって来た岡高春(中村有沙)に一瞬で心奪われ、彼女を主演に起用して舞台稽古に励む。猛烈なアタックにより春との恋愛も実り、旗揚げ公演も大成功で幕を閉じ、すべてが順調かと思われたが……。

▼公式サイト
http://kagekihaopera.com/


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