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『さよなら歌舞伎町』『ヴァイブレータ』の廣木隆一監督が、自身の処女小説を映画化した『彼女の人生は間違いじゃない』。本作の主人公みゆき役を、『グレイトフルデッド』『日本で一番悪い奴ら』に出演した瀧内公美がオーディションでつかんだ。震災後の福島と東京・渋谷を行き来する中で、何かをつかもうともがく難しい役どころに挑戦した瀧内が作品を振り返る。

熱く語ってもらえる作品として心に残っていってほしい

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――本作の舞台は震災後の福島。瀧内が演じるのは、仮設住宅で父と2人で暮らしているみゆき。市役所で働きながら、週末になると高速バスで渋谷へ向かい、デリヘルのアルバイトをしている。

「みゆきは震災が起こるまでは、普通の人だった。両親がいて、ごく普通の生活をしてきた女の子。失ったものがあまりに大きすぎて、また普通が奪われたことによって彼女の心の中が崩れていったのかなと考えました。市役所勤めで日々を淡々と過ごしていくことに、感情が麻痺してしまったり、その状況を変えたくても変われない自分にも苛立ちを抱えている。誰も自分を知らない東京という街に出て、デリヘルをやって何かを埋めようとしていて……。彼女は週末東京に出ていっても、ちゃんと福島に帰ってくる。逃げようと思えば逃げられるのに、現状から目をそむけずに逃げ出さない。それこそが彼女の強さだなって思って演じていました」

――本作のオーディションが舞い込んだのは、瀧内自身、様々なことに悩んでいた時期。自分の力を何も信じられずにいたときに廣木監督と出会うこととなった。

「つまずく時期が自分の中ではときおり訪れるんです。色んなことを考えすぎて、その状況をどうにかしたくて行動を起こしてみるけれど空回ってしまう。そんなときにこの作品に出会ったんですね。廣木監督はその姿がみゆきと重なったとおっしゃっていました。オーディションの合格の知らせが届いたのがちょうど27歳の誕生日。最高のプレゼントですよね。純粋に嬉しかったです」

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――廣木監督とのオーディションでは自分の内面をどんどん引き出され、痛いところをえぐられて、すべてをさらけ出してしまうような感覚だったと瀧内。

「今まで経験したオーディションは、脚本の一部のお芝居をして、ちょっとした笑いのある雑談をする感じ。それが廣木監督はまったく違っていたんです。私がどんなことを考えて、家族に対してどんな感情を持っているのか。脚本に沿って監督が質問するという流れだったんですが、ひとつ私が答えると、さらにその答えに対して監督から質問される。その繰り返しでどんどん内面を掘り下げられていく。脚本のワンシーンの芝居を見せたときも、“笑っている”と脚本に書いてあるからその表現をしたのに、『今、なんでそこで笑ったの?』と。芝居が上手い下手ではなくて『あなたはどういう生き方をしてきたの?』と投げかけられている感覚でした。オーディション中に一番辛かったことがボロっとこぼれてしまって、涙が止まらなくなってしまったこともありました」

――思いがけないかたちで自分をさらけ出してしまったものの、クランクインを迎えるときは役柄を深く考えてしまい、武装をして飛び込んでしまったそう。

「オーディションではさらけ出してしまったんですけど、いざクランクインするときはみゆきという役柄を深く考えすぎてしまって。廣木監督からは、頭で考えたものを見せるのではなく、その場にいて生まれたものを見せなさいとアドバイスをいただきました。そして撮影が始まっていくと、どんどん削ぎ落としていってもらった。練習してきたものじゃなくて、そこで感じたもの見せる。その難しさで撮影中は苦しみました。みゆきの人生を歩んできたわけじゃなくて、私は私の人生を歩んできている。少しでもみゆきに寄り添いたくて、気持ちではなく、つい情報を得ようとしちゃうんですよね。わからないまま演技をしようとするとズバッと指摘される。カーテンを開けて朝日を浴びるシーンでもいきなりカットがかかって、『CMみたいなわかりやすい芝居はやめてくれ』と(笑)」

――その場で生まれたものを見せる。理解しようとするほどわからなくなり、戸惑うばかり。得たものはたくさんあったけれど、撮影中は一回も楽しいとは思えなかったと苦笑いを見せた。

「ちびまる子ちゃんでいう、“ガーン”の顔になってるよって言われました。難しいし、苦しいし、迷うしで全然余裕がないんです。でも、みゆきが悩み続けているならば、私も悩み続けようって腹をくくりました。自分が作品に向かうとき、どこかいつも自分の存在感を残したくて叩きつける感じで作品に臨むんですけど、今回に関してはそうはならなかった。監督のメッセージが強い作品だから、役者として与えられた場で表現することに徹しました。そうやってずっとみゆきの状態でいさせてもらえる贅沢な現場でしたね」

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――演じてきた中で、少なからずみゆきの心に寄り添える瞬間もあった。

「田舎の閉塞感から逃れたくて東京に出てきた部分です。私も上京するとき、自分の居場所や何か新しい希望とか、単純に誰も知らない場所にいける喜びがありました。境遇はまったく違うけれど、東京に行く目的意識は似ているかもしれない。今は、故郷に帰ると『こんなのどかな街に住んでいたのに、なぜ東京に出てきたんだろう』って思うことも。でもそれは東京に住んだからこそ気づけたもの。地元から出たことがなく、東京を知らなかった18才より昔の私には、地元がすごく狭い世界だったんですよね。会う人はみんな顔見知りだし。遊ぶ場所はショッピングモールだけだったから(笑)」

――全身でみゆきとぶつかり、向き合ってきた瀧内からメッセージ。

「テーマとして賛否両論あるだろう作品ですが、観ていただいて廣木監督の想いがどういう風に届くのかなっていうのが楽しみ。それがどんな意見であれ嬉しいです。何も響かず、何も言われないことが一番悲しいから。熱く語ってもらえる作品として誰かしらの心に残っていくのであれば、それは幸せなこと。自分一人ではなく、キャストやスタッフみんなと作り上げた作品なので、みんなの想いが伝われば嬉しいです」


Writing:長嶺葉月/Styling:馬場圭介/Hair&Make-up:小川万理子(raftel)

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(C)2017「彼女の人生は間違いじゃない」製作委員会

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『彼女の人生は間違いじゃない』

絶賛公開中!


『さよなら歌舞伎町』、『ヴァイブレータ』など、自分の居場所を探し求める大人たちの衝突や愛を、時に鋭く時に温かく描いてきた廣木隆一監督による、自身の処女小説の映画化。 物語の舞台は、震災から5 年後の廣木監督の出身地・福島。週末、渋谷でデリヘルのアルバイトを終えたみゆきは、平日の生活に戻るため高速バスに乗る。父と二人で暮らす、福島の仮設住宅に帰るために。渋谷と福島、ふたつの都市を行き来する日々に彼女が求めたものとは─?

▼公式サイト
http://gaga.ne.jp/kanojo/


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