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名門女子高校で転落死事故が発生する。娘を失うという絶望を抱え、その謎に迫る行動心理学者の主人公が、天使のように美しく、悪魔のように邪悪な心を持った女子高生・木場咲にたどり着く……。芦沢央のサスペンス小説を映画化した問題作『罪の余白』で、内野聖陽は主人公の安藤聡を演じている。

心理学者が心理的に追いつめられていく面白さを
うまく出せたらいいなと思いながら演じました

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初めてのカメラリハーサルで監督に鍛えられた
―― 感覚的に伝わるものはあるが、それを言葉にするのは難しい『罪の余白』というタイトル。内野は「僕はタイトルについてはあまり考えないんですけれど……」と前置きした上で、こう解釈する。

「罪という文字が書かれた紙があったとしたら、そこには余白がありますよね。『これは罪だぞ! 有罪だぞ!』という部分ではない、白でも黒でもなく、情報があるわけでもない、ファジーでグレーな部分にいる女の子と父親のお話……なのかな(笑)」

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―― “女の子”とは、名門女子高校で生徒たちの憧れの的、木場咲。“父親”とは、一人娘の死の謎を探るにつれて復讐に取り憑かれ暴走していく安藤聡。テーマは重いが、二人の対決の構図はバトルムービーとして非常にエキサイティングだ。内野もこのストーリーに惹かれて出演を決意したという。

「まずシナリオをいただいて読んだところ、作品の吸引力やパワーに圧倒されました。娘を失った父親がその原因を究明していくと、“邪悪な女子高生”に対峙するという構図が面白いと思いましたし、サスペンス仕立てということもあり、ストーリーにグイグイと引き込まれました」

―― 咲を演じる吉本実憂をはじめ、女子高生役を演じる若手女優たちに対し、1ヵ月に及ぶリハーサルが行われた。内野もそこに途中から参加した。

「まだ安藤というキャラクターを掴めていない時期に、彼女たちと本気で演技をさせるわけです。台詞もなく、じっと耐え忍んでいるような表情で芝居をしている私に対し、大塚祐吉監督が『内野さん、その瞬間のその表情が安藤聡なんですよ!』と声を大にしておっしゃったのが印象的でした。あのときに、監督が求める安藤像のイメージの片鱗を見たような気がして、『なるほど、こういう攻め方か』と感じました」

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―― そのリハーサルとは、カメラで撮影しながら行われた。つまり、カメラリハーサルである。監督は撮った映像を役者たちに見せて、セルフチェックをさせることで、キャラクターを作り上げていった。それは内野にとって初めての作業だったという。

「監督が『いい感じ』と言う時と、無言のときがあるんです。自分で映像を見て、監督さんの反応と突き合わせをすると、監督の意図がすごくよくわかりましたね。今回演じた行動心理学者でありメンタルがそれほどタフではない安藤という男は、繊細な表現が必要なキャラクターなので、リハーサルで監督に鍛えられて感謝しています」

もしも女優だったら相手役の咲を演じてみたい
―― 安藤が対峙する女子高生の咲について、内野は「自分が女優だったらぜひとも挑戦してみたい、とても大変で、とてもいい役」と言う。

「こういう邪悪な役は、邪悪さの内側にピュアなものも持っていなくちゃいけない。小手先が通じない役。その鉱脈を掘る作業は、役者としてとても挑戦しがいのある役。だから彼女(吉本実憂)に対して『これはいい役だぜ! がんばんな!』って、最初にエールを送りました」

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―― 安藤と咲の対決シーンはすべて、物理的な場所、二人を取り巻く環境、それぞれの心理的状況、二人の力関係を変えて描かれる。内野もシーンごとに、安藤の恐怖、自暴自棄、悲壮感、慈愛といった感情を咲にぶつけていく。監督がつけた演出も大きなヒントになったという。

「安藤がウイスキーのグラスを片手に学校に電話をかけるシーンがあったんです。それは監督にとってとても重要な瞬間で、『彼は、ウイスキーがないと電話をかけられない。その性質を大事にして演じてください』という助言もヒントになりました。タフじゃないヤツが頑張る物語なので、そこに自分の感性をもっていく作業が難しくもあり、新鮮でもありました」

――いじめやスクールカーストといった問題を扱う作品ではあるが、サスペンス映画として引っ張る力はある作品だと言う。

「10代のお子さんを持つ親御さんにとってはちょっとキツいお話かもしれません。実際、観ていてつらくなったという感想も聞きましたし、考えさせられる要素は多分にあります。でも、僕はこの物語にはサスペンス映画として引っ張る力はある作品だと思っています。そして、何かしら皆さんの心に残る何かがあったら嬉しく思います」


Writing:須永貴子/Photo:小林修士(kind inc.)

インフォメーション

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(C)2015「罪の余白」フィルムパートナーズ

MOVIE

『罪の余白』

2015年10月3日(土)公開


芦沢央の心理サスペンス小説を映像化。名門女子校で、一人の女子高生が教室のベランダから落ちて死亡する事件が起きる。行動心理学者の安藤は、娘が残した日記から、娘を死に追いやったのは同級生の木場咲だと確信する。しかしその美しさと狡猾さで学校の教師や警察をも支配する咲により、安藤はどんどん追い詰められ、暴走し始める。

▼公式サイト
http://tsuminoyohaku.com/

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