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山﨑賢人の最新主演作は、第13回本屋大賞に輝いた宮下奈都の小説を実写映画化した『羊と鋼の森』。ピアノの調律に魅了された一人の青年、外村直樹が調律師を志し、さまざまな人々との交流や、挫折を経験しながら成長していくさまを演じる。「役者という仕事と照らし合わせながら演じた」と語る撮影の日々に込めた思いとは。

僕自身の背中を押してくれる作品になりました

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―― 将来の夢もなく生きていた外村直樹は、高校でピアノ調律師の板鳥宗一郎と出会い、板鳥の調律したピアノの音色に魅せられ、その日から自身も調律の世界を目指すことを決意。専門学校を出て新米調律師として働くようになる。そんな外村を演じるに当たり、ポイントとなったのは、外村が北海道の森で育ったことだったという。

「最初の本読みのとき、橋本(光二郎)監督に、外村は北海道の山の中で育った人なので、音や匂いなどに敏感な人でありたいと言われました。街を歩いていても、季節の匂いや木々が揺れる音を敏感に感じて、そういう部分を研ぎ澄ましてほしいと。また、僕自身が小説を読んだ印象ですが、外村は人と話をしていてタイミングがずれる部分があるので、そこも意識しました。映画のシーンで言うと、すぐりという植物が生えていて、外村が「これは誰も食べないのでしょうか」って突然言い始めるところとかですね」

―― 橋本監督とは2015年公開映画『orange−オレンジ−』以来のタッグ。前作と共に本作も、山﨑の繊細な一面が印象的に引き出されている。

「監督自身すごく優しくて繊細な方です。クランクインする前に、自然の匂いや音を感じてほしいとお話したことも役を演じる上で大きかったのですが、一冊の本、「人はかつて樹だった」という本をいただきました。最初に監督のイメージを共有できたというか、そういうことを話せて良かったです」

―― 調律師の練習のため、北海道・美瑛のロッジに泊まり込んだ山﨑。調律の技術もだが、その際得た感覚は、役作りに大いに役立ったという。

「音一つなく、屋根に積もった雪が落ちるガサガサっていう音とか、自分が雪を踏んで歩いたときの音とか、繊細に聴こえてきました。僕自身の感覚も研ぎ澄まされますし、外村は、こういうところで育ったんだなっていうことを意識して演じることができました。東京に戻るとうるさいというか、何かしら音が鳴っているんですよね。美瑛のロッジの周りには人もいないし、車もほとんど通らないので、本当に音に関しては無でした。外村を演じる上で、その環境にいて、その感覚を知れたことは大きかったです」

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―― 外村と山﨑自身との共通点はあるのだろうか。

「外村は社会人1年目で、年齢的に重なる部分はあります。外村は調律師という仕事をしていますが、どの人にも当てはまると思います。僕は役者という仕事を照らし合わせました」

―― 外村と違うところについては、笑いをとりつつ教えてくれた。

「外村のようにコツコツとやることの大切さも感じていますが、僕はあまりメモをとらないです。外村のようにその都度メモをとるのは大切だと思いました(笑)」

―― 印象に残っているのは、外村が調律師になることを決意する冒頭のシーンだという。

「1ヶ月以上、北海道にいて、毎日が濃厚でした。印象に残っていることはたくさんありますが、なかでも板鳥さんを演じる三浦友和さんと最初に撮影をしたシーン。「コツコツと」と言われるシーンで、その台詞を聞いたとき、この人が調律したピアノの音に森を感じ、この人に憧れて、調律師になりたいと思ったんだという説得力がすごくありました。三浦さんの声の優しさや人間としての分厚さを感じ、外村と同じ気持ちになりました。三浦さんは立っているだけで、人としての重み、深みが伝わる方。現場では、たくさん僕に話しかけてくださって、お茶目な面もあり、本当に素敵な人でした。今回共演できて本当に良かったです」

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―― 外村に影響を与える調律師がもう一人いる。鈴木亮平さん演じる調律師の先輩、柳伸二だ。鈴木さんの存在は、外村にとっての柳と同じぐらい大きかったようだ。

「鈴木さんは本当に柳さんのようでした。映画と関係のない他愛のないお話もたくさんしたんですけど、お芝居の話もさせていただきました。二人で食事に行ったとき、最初は楽しく話をしていたんですけど、僕が「今日撮ったシーンは大丈夫でしたか」って心配になって質問したら、「大丈夫だよ!」って励ましてくださって。鈴木さんも共演できて本当に良かったです」

―― 調律師の先輩たち、顧客との交流を通して、成長していく外村。調律のシーンが多数描かれるが、やはり大変だったという。

「派手な作品ではなく、音を調律していくことは、言ってしまえば地味な作業なんですよね。でも、音を合わせるのはすごく大変でなかなか合わないんですけど、そこをどうやって表現すればいいのか。教えてくださった調律師の方の仕草や、調律しているときの表情などを参考にしていきましたが、すごく難しかったです。真ん中が正解の“ド”だとして、ちょっとずれたところまではいけるんですけど、ぴったり合わせるのが本当に難しくて。でもその反面、面白さもありました。三本の弦が一つになるユニゾンと呼ばれるものがあって、合わせていくのが面白かったです」

―― 『四月は君の嘘』ではピアニストを、そして本作では調律師役を。役を通して、より深くピアノに触れることで感じたこととは。

「ピアニスト役のときは音に注目していたんですけど、今回は調律師が主人公の作品で、素材の音を感じたというか。ピアノの中は木で出来ていて、羊の毛を刈って、それを丸めて作ったフェルトで作ったハンマーがピアノの中にあって、それが鍵盤を押すと、ハンマーが弦(鋼)を叩いて音を出す。ピアノは自然界の音が大事だと感じました」

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―― 本屋大賞に輝くなど、小説のファンは多い。原作ファンに、映画の見どころを伝えるとしたら?

「景色もすごく綺麗ですし、北海道ならではの絵がたくさんあります。小説を読んだとき、音も聴こえてくる感覚があったので、それを映像として五感で感じられるものになっていると思います。原作の宮下さんが描かれている台詞もそのままのものが多いので、自分でもこの作品の台詞がやっぱりいいなと思いました」

―― ズバリ、役者として得たものは?

「役者という仕事を照らし合わせてやっていたんですけど、今までの自分の成長とプラスして成長できました。「堂々と」、「コツコツと」、そして、「好き」っていう気持ちは大切だなと感じました。それこそ、外村が仕事で大失敗した日に、板鳥さんにハンマーをもらって、「ここから始まるんじゃないですか」って言ってもらったとき、失敗も経験になるというのが、僕自身の背中を押してくれた。外村にとって森で育ったことが武器になるように、自分では武器だと思っていないものが、武器だったりするし、ネガティブものをポジティブに変えていくのがいいと思いました。それは、どの職業でも同じなのかなって思います」


Writing:杉嶋未来

インフォメーション

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(C)2018「羊と鋼の森」製作委員会

MOVIE

『羊と鋼の森』

6月8日(金)公開


将来の夢もなく生きていた外村は、高校でピアノ調律師の板鳥と出会い、板鳥の調律したピアノの音色に魅せられ、その日から自身も調律の世界を目指すことを決意する。専門学校を出て新米調律師として働くようになった外村は、調律師の先輩たちをはじめ、高校生姉妹、引きこもりの青年、バーのオーナーなど、調律を通して知り合う人々とのかかわりによって、調律師として、そしてひとりの人間として成長していく。

▼公式サイト
http://hitsuji-hagane-movie.com/

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