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2013年11月5日更新

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お互いを思い合い、大切にしていたはずなのに……。思いを寄せあいながら、事件の被害者と加害者になってしまったふたり。社会問題になっているデートレイプを題材に、17歳の揺れ動く心情を描いた『ゆるせない、逢いたい』。初主演というプレッシャーをはねのけ、難しいテーマを体当たりで演じきった吉倉あおい。公開を前に、「より多くの人に伝えたい」という強い思いがあふれ出る。

作品のことを思うと涙が出てくる毎日。はつ実からパワーをもらってほしい!

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── 女性ファッション誌『mina』の専属モデルとして活躍する一方で、『ガリレオ』や『ぴんとこな』などドラマ出演がつづく吉倉。女優として注目が集まっているこの時期に、初主演映画が公開される。撮影されたのは昨年の夏。ほぼ、芝居が初めての状況での主演。そして、デートレイプの被害者という難しい役にどう臨んだのだろうか。

「不思議とプレッシャーはありませんでした。作品の準備稿をいただいて読んだときに、絶対にチャレンジしたい役だと思ったし、やらなきゃいけないと感じたんです。よく、難しいテーマだし、大変だったでしょとも言われますが、作品に対してもはつ実という役に対しても難しいと思ったことはないんです。ひとりの女性として、また、はつ実と同世代としてこの作品を多くの人に伝えたいなという思いが強かったからかもしれません。撮影前はとにかく台本を何度も何度も繰り返し読みました。このひと言にどんな思いがつまっているのかなと色々な角度から見るようにして。あとは陸上部員の役だったので走り込みをしたくらいで、役作りらしいことは一切しませんでしたね」

── 女性としての大切なこと、守るべきもの、そんなことを役を通して伝えたい。使命感にも似た強い気持ちに加え、共演者、スタッフの力強いサポートもはつ実を演じきれた要因だという。

「私がほぼ初めての演技だということはみなさん知っていて、スケジュールも色々と考慮してくださいました。撮影も台本の1ページ目からスタートして、台本通りに進んでいきました。順撮りというのですが、そのおかげで、演じながらはつ実の気持ちにすっと入っていけたんです。役作りとか、気持ちをどう作ろうかと考えなくても、現場できっと感情がわいてくるだろうと思っていました。金井(純一)監督もそう考えていたみたいで、最初に言われたのが『芝居をしないでくれ』ということでした。上手にお芝居ができたから伝わるような内容ではなかったので、自然とわき出る感情にまかせていたような気がします。隆太郎を演じた柳楽(優弥)さん、母親役の朝加(真由美)さんがそばにいてくれるだけで安心もしたし、多くを語らなくてもふたりの存在が大きくて、私を「はつ実」にしてくれたんです」

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── 親子、恋人、友達。映画での関係性と同じように、撮影をはなれたところでも吉倉を支えたのは共演者たちだった。

「朝加さんは本当のお母さんのようでしたね。はつ実が泣き崩れるシーンがあるのですが、納得いく演技ができなくて、さらに泣いてしまって立ち上がれないことがありました。そのとき、すっとそばにきてくれて扇子であおいでくれたんです。特に言葉をかけるわけでもなく、ただ黙ってそばにいてくれたことが嬉しかったし、心強かった。普段から芝居のアドバイスいうよりは、これまでの経験を話してくださって、それもまた親子のような気がして。親友のマリを演じた新木優子ちゃんとはもともと仲良しでしたが、この映画を通してさらにその友情が深まりました。2週間の撮影期間中はホテル住まいだったのですが、撮影が終わって帰ると必ず『お届け物があります』と言われて。それは手紙つきの栄養ドリンクやお菓子だったのですが、優子ちゃんからのものでした。ちょっとしたメッセージが書かれていて、それがとても励みになったし、支えでしたね。その手紙は大事にファイルに入れてとってあります」

── デートレイプという難しいテーマが描かれているが、10代の淡い恋愛を描いた青春ストーリーでもある。隆太郎への恋心はどんな思いで演じたのだろうか。

「実際に、こんな出会いはあるのかどうか……。私だったら『ちょっと危ないな』と思ってしまうけど、若さゆえ、なのかも。今回に限らず、恋をしている女の子を演じるときは、家族や友達に接しているときのように愛情をたっぷり注ぎたいという思いでいます。柳楽さんとはあまりお話ができませんでしたが、ふたりで自転車に乗るシーンでは、撮影前に公園をぐるぐる自転車でまわったりして、それが心地よくて隆太郎との距離感や接し方にヒントをくれた気がしました」

── 思い合っているふたりが被害者と加害者になってしまう。許せないけど、逢いたい。逢いたいけれど許せない。その葛藤は、恋をしたことがある人なら痛いほどわかるのではないだろうか。

「セリフにもあるけれど『全部夢だったらよかったのに』って思いますよね。親に捨てられた隆太郎は愛情に飢えていたし、はつ実も父を事故で亡くし、母とはうまくいかなくて愛情に敏感になっている女の子。ふたりが自然と惹かれあうのもわかるし、すれ違いからその関係が崩れていくのもわかる。でも、なんで?って。なんでそんなことしたの?って。色々な感情がうずまいて、とても迷って絞り出した『許せない』なのかなと思います。でも、きっと逢いたい気持ちのほうが強かったはず」

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── 完成作品を観終ったあと、言葉がなかったという吉倉。それはやりきった達成感からなのか、作品の持つ重いテーマに対してなのか、それはいまだにわからない。ただ、同世代の女の子だけでなく、多くの人たちに観てほしい、伝えたいという気持ちがさらに強くなった瞬間でもあったようだ。

「母親の気持ちがすごく響いてきたんです。親の気持ちってすごいなって。10代の頃って自由がほしくて、遊びたいし、恋愛もしたい。楽しい時期だけど、守らないといけないこともあって、そして自由でいられるのは守ってくれる存在があるから。でも、そういうことに気づかないまま過ぎちゃうでしょ、きっと。だから、この映画を通して親の気持ちに少しでもいいから気づいてほしいなと思うんです。私もまだ19才で、偉そうなことは言えない立場だけど、親ってすごいなと思うから」

── 吉倉のそばにも、いつも母がいる。毎日、メールのやりとりを何回もするし、地方に行った際は電話で2時間近く話すことも。連絡を取らない日はないほど、密な関係だ。

「母の声を聞かないと安心できなくて。でも、今回は一度も連絡を取らなかったんです。連絡しないからね、とは言わなかったのに母からもメールや電話がこなくて。不思議ですよね。仕事に関して何かいう人ではないので、撮影前にアドバイスもなかったのですが、何かの話の流れで母親の気持ちを語ってくれたことがありました。お母さんもそうだけど……と前置きがあって、『きっと世の中の女の子を持つ母親って、この子だけは何があっても守ろう。何があってもつらい経験をさせたくないし、そういう思いをさせたくないと強く願いながら育てているんだよ』って話してくれて。心にくるものがありましたね。今って簡単なつき合いをしてしまいがちだけど、守るべきものってあるし、同世代の女の子だけでなく、男の子にこそ、そのことをわかってほしいなと思いました。女の子ってとってもデリケートな生き物なんだよって」

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── 昨年の夏に撮影が行われたこの映画を機に、女優としての道もひらけ、数々のドラマにも出演。この1年でたくさんの経験をした。

「完璧だと思ったら終わってしまう世界。いつも課題があるからこそ、悩み苦しみ、頑張れるんだと思っています。いつも壁にぶち当たりながら前に進んでいる感じ。でも、壁があるってラッキーなこと。それがないと成長しないし、次の仕事につながらないのかなと。どんどんぶつかれーって思ってます。この映画では、芝居をするなといわれてその場の感情にまかせていたところがありました。でも、ナチュラルだけではダメだなと、他の現場を経験して痛感しているところです。『ぴんとこな』では、父親役の榎木(孝明)さんから『セリフも表現も芝居の技術がうまくなっても、それだけでは意味がない。芝居とはいえ、感情だからね。感情にのせるだけでセリフが伝わるんだよ』とアドバイスをいただきました。その後に『芝居がだんだん心に響いてくるようになったね』とおっしゃってくれて、それがとても嬉しかったんです。私は不器用だから、ウソがつけない。セリフであっても、本当にそう思っていないとわざとらしくなっちゃうんです。榎木さんの言葉はずしっときましたね」

── この映画のことを思うと涙が出てくると、取材中もときおり目がうるんでいた吉倉。

「撮影がつらかったとかではないんですよ。今は、はつ実としてではなく、一歩ひいた立場でいられるんですけど、この作品のことを思うと熱くなって感情がわーって出ちゃうのかもしれませんね。台本やスケジュール表、優子ちゃんからの手紙などを入れた『ゆるせない、逢いたい』ファイルが家にあって、毎日見返しているのですが、それを見るだけで涙が出てしまう。でも、泣いてばかりではこの作品のよさが伝わらないので、しっかりしなきゃ!と思っています。どうか伝わって!その思いだけで今はいます。
恋愛中は周りがみえなくなりがちだけど、冷静になることも必要。相手の気持ち、自分を守ってくれている親の存在に気づけたらいいなと思うんです。はつ実のような経験はしてほしくないから、この映画を観て何かを感じ取ってくれたらいいですね。そして、同世代のみんなには素敵な恋をしてほしいなと思います!」

Writing:岩淵美樹/Styling:鈴木のり子
衣裳協力:
バナーバレット新宿ルミネ店 TEL.03-6380-6151
deicy代官山 TEL.03-5728-6718
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INFORMATION

MOVIE

『ゆるせない、逢いたい』
11月16日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

母と郊外の一軒家に引越しをしてきた木下はつ実(吉倉あおい)。厳しい母との対立、慣れない新生活で孤独を抱えていたはつ実は、古紙回収業の野口隆太郎(柳楽優弥)と出会い、自然とひかれあっていく。しかし、ある誤解からすれ違いが続き、はつ実に嫌われたと思い込んだ隆太郎は、久々に再会した彼女を前に感情を抑えきれなくなり襲ってしまう……。思いを寄せあいながら、被害者と加害者となってしまったふたりの葛藤を描く。


▼公式サイト
http://yuru-ai.com/

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(C)S・D・P/2013「ゆるせない、逢いたい」

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