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パルコ・プロデュース『目頭を押さえた』で初舞台に挑む秋田汐梨。山間部のとある集落での市井の人々の日々の営みを血の通った会話劇として描く本作で、彼女が演じるのは高校生の修子。土地に根付いた文化・因習を守りつつ現代に生きる家族や親戚との人間関係を軸に、“少女の成長”を等身大で表現する。現在、稽古真っ最中。創作の毎日から受け取る俳優としての刺激とは──。

お芝居での説得力、観る人を惹きつけられる力を身に付けたいと思います

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―― 新たなステップ、人生でただ一度の“初舞台”が決定した秋田。「舞台」についてはどんなイメージを持っていたのだろうか?

「実は今まで舞台を観たこともなくて、自分にとって身近なものじゃなかった分、自分が舞台に関わるなんて考えたこともなくて。今回、お話をいただいたときは、まず“私にできるんだろうか”とすごく不安でした。初めて舞台を観たのもこの作品が決まってからです。今までは、映像のお芝居しかしたことがなかったので、まずは“舞台のお芝居は全然違うんだ!”って驚きと発見ばかりでした。役を演じるとう意識は変わらなくても、身振り、手振り、表情、声量など、お芝居の仕方や空気感が映像とはまた違って、演劇での伝え方があるんだなと思いました。例えば、今までは表情とセリフの言い方で表現していたことも、舞台上では全身を使ってセリフを言った方が伝わるのかな、と試行錯誤したり。ただ、今まで自分の中になかった表現で気持ちを作るのもすごく難しいなって感じていて。舞台はまさに違う世界に触れた体験でした」

―― 生で触れた演劇の衝撃。同時に、その魅力にも開眼した。

「今回の脚本も書かれている、横山拓也さんが演出の舞台を見に行かせていただきました。初めての舞台観劇だったので、始めは勉強をさせていただくつもりで観に行ったんですけど、舞台自体がすごく面白くていつの間にか見入っちゃって、最終的にはただただ目の前の舞台を楽しんでいました。舞台という表現に対して自分が持っていた“堅い”とか“大変なモノ”という固定概念が消え去って、純粋に“舞台ってこんなに面白いんだ”と思えて。実際に演じるのはやっぱり大変なことであるとは思いますが、そこは自分の頑張り次第だとも思うし、早く演じたい気持ちと、“やるしかない!”という気持ちになりました」

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―― 表現者として未知のフィールドへ踏み出す瞬間は、これまでも何度も経験してきた。

「目の前に提案してもらったコトに対しては、深く考えずにまずやってみる性格です。もともと雑誌のモデルになったことからこの業界に入ったのでお芝居をやると思ってなかったのですが、事務所のレッスンを受け、ワークショップに参加し、オーディションに行って、ドラマが決まって。最初は何もわからないまま撮影現場に行きましたが、“とにかくやってみよう”と挑戦してきました。その積み重ねで今こうしていろいろな作品に出演させていただく中、舞台のお仕事にも巡り合った。だからお仕事に向き合う気持ちは以前から変わりません。何も知らなくてもやってみないと始まらないんだっていう気持ちで、今回も挑戦させていただいています」

―― さらに「俳優業を通じて新たな自分を発見するのも楽しい」とも。

「モデルのお仕事にも、お芝居の経験がとても生きるなと思っていて。表情の作り方もですし、写真でもストーリー仕立てで構成する企画もあります。そういう撮影の時、現場で褒めていただくこともわりとあって(照)。それはお芝居をやってるからだなって思うとやっぱり嬉しいし、“自分の表現”ができているんだなという確認にもなります。もちろん、自分で自分の出演作を見返すとまだまだだなって思うことばかりなんですけど、最近は映像の現場でも少しずつ緊張しなくなってきました。最初の頃は、本番中もずっと緊張してたんですよ! でも今はお芝居をしていると自我を忘れている瞬間もあって、役としてお芝居に取り組めているな、と感じられるようになれました」

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―― 演じる喜びや楽しさ、俳優としての実感が芽生えている?

「そうですね。いろんな方と共演していろんなお芝居に触れるたび、“あ、こんなことができるんだ”“こんな表現の仕方があるんだ”って、ちょっとずつ勉強できているので、自分もそういう先輩方のような演技のできる俳優さんになれたらいいな、と思っています」

―― 舞台は約1ヶ月ほどの稽古を重ねて本番を迎える。座組一丸となって取り組む稽古の毎日を、どう過ごしているのだろうか。

「お稽古はちょうど半分くらい経ったところです。昨日初めての通し稽古があって、課題点をピックアップ。これからは仕上げに向けて調整していく段階です。私は人見知りなので、今までは、作品に入っても緊張してしまって現場で共演者の方誰とも話さずに終わった、なんてこともありました。でも、舞台ってコミュニケーションがとても大事だし、みなさんすごく話しかけてくださるので、今は緊張も取れてすごくリラックスして取り組めています。毎日新しい発見とか課題点が見つかって、それをちょっとずつ克服していくことが楽しいです。演出の寺十(吾)さんは“このセリフを言うときに立ってみようか”とか、動線、台詞の言い方などお芝居の細部を丁寧に指導してくださいますし、なぜそれをするのか、そのとき何を思っているのか、誰に向けてそれを言っているのかとかを“なぜ?”って直接聞いてくださるから、そこで自分の考えを見つめ直すきっかけにもなる。やっぱり自分が生きている中での行動や言動って無意識のことが多いから意味や動機を考えるのって難しいんですけど、役に対してそれをちゃんとやることによって、ちゃんとお客様にも伝わるお芝居ができるんだなって思うので、話し合うのはすごく大事な段階だなと知りました。毎回アドバイスいただけて、すごくありがたいです」

―― 秋田が演じる修子は高校3年生。同い年の従姉妹の遼とは親友同士、地元で生まれ育ち、自身が因習を引き継ぐ家の者である自覚を持ちつつ、年頃の少女らしく目まぐるしい青春の日々を送っている。役どころへの印象は?

「修子は本当にただただ活発で、可愛らしい、元気な女の子。でもだからこそ一人で悩んでいる部分もあります。遼が自分の夢に向かってすごく努力をしてるのを、見て焦っている気持ちも、私自身そういう経験があるのですごく気持ちがリンクするし、似てるなぁって思います。修子は感情がすぐ表に出る女の子だから、めちゃめちゃハイテンションのこともあればすごく嫉妬して落ちていることもあって、全編にわたって結構感情の波があるんですよ。感情が表に出るセリフも多いですし、自分の感情を共有する場面、テンション高く会話を回していくシーンもあるので…ベースとして舞台ではいつもの自分のお芝居より表現を大きくしなきゃ伝わないと思っている中で、修子の感情はさらに大きく表現しないといけないと感じていて。昨日、通し稽古を撮った動画を初めて見たんです。そうしたら自分ができていると思っていたお芝居と、そこに映っているお芝居とのギャップがすごくあって。全然ダメでした!(笑) 自分では表現しているつもりでも伝わる芝居ができていなかったり、すごく間をとっている感じがしたけど、こうしてみるとまだ違和感があるなとか、細かなところをこれからちょっとずつ解消していけたらいいなって、思います」

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―― 一風変わった『目頭を押さえた』というタイトルも、ちょっと意外な形で観客の胸へと刺さる静かに強いメッセージを秘めている。

「タイトルを見て“感動のお話かな”と思って台本を読み進めていったらそうではなくて、目頭を押さえるってどういうことなのか、その言葉が重要なキーワードになっていますし、ある種の過激な意味もあるので、お稽古をしながらそのシーンで鳥肌が立ってしまうこともあるんですけど──その臨場感はやっぱり舞台だからこそ、なのかも。最初から最後まで物語を通して演じるから自分の気持ちもすごく繋がるし、その中での修子の感情の変化も、最後にすごく物語に影響していくし。演じているときには本当に自分が修子になっている、という気持ちです。ストーリーは強烈な印象もあり、でも一方ではどこにでもあるような日常の話でもある。親戚同士の人間関係とか、遼と修子の微妙なバランスとか、観ている人もすごく共感できる部分があるだろうなと思います。一見みんな楽しそうに見えても心で思っていることは違っていて、もしかしたらその場を楽しんでない人もいるかもしれない。深く読み解けば読み解くほど共鳴できる部分がたくさん見つかる物語です」

―― 様々な重みも噛み締めながら、修子を生きていく。

「難しい、ですね。いろんな舞台を経験されている共演者のみなさんも結構悩んで寺十さんと相談されているくらいですから、私は本当にわからないことがいっぱいあるんですけど…稽古場ではみんなで話してみんなで考えるという時間も多いので、全員が共通認識を持ってこの物語に取り組めています。ドラマや映画では自分の役をどう生きるかを主に考えて演じることが多かったけれど、周りの人のこともよく考えて、他の人がどう思っているか、自分はどの場にどういるべきかをみんなで探り、自分以外の役のことも考えて情報を共有して創っていくことを日々学んでいます。楽しいです」

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―― 今は完全に舞台モードにスイッチ。本番、そしてその先の自分への期待と希望を抱きながら、芝居の研鑽に集中している。

「今までの私のお芝居の経験を生かし、今回の作品に向けて今一生懸命お稽古しているんですけど、本番では今までの自分とは違う一面を見せられたらいいな、と思っています。毎日修子のことを考え稽古を重ねているので、みなさんに期待していただいている分、その期待に応えたいですし、観ていただいた方に面白かったな、と思っていただける作品にしたいですね。また、個人的な思いとしては、今までクセのある役が多くて、それって実はある意味演じやすいキャラクターだったとも思うんです。でも修子のような普通の女の子を演じ、この舞台を経験したことで、本当に平凡な、ごく普通の役を演じられるようになりたい。そういうお芝居での説得力、観る人を惹きつけられる力を身に付けたいと思います」


Writing:横澤由香

インフォメーション

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STAGE

パルコ・プロデュース『目頭を押さえた』

【東京公演】2021年6月4日(金)~7月4日(日)東京芸術劇場 シアターイースト
【大阪公演】2021年7月6日(火)~7月7日(水)サンケイホールブリーゼ
【愛知公演】2021年7月9日(金)名古屋市芸術創造センター


畿央地域の山間にある人見(ひとみ)村。衰退の一途を辿るこの村の林業と、この地で古く から行われてきた喪屋(もや)における葬儀。この2つの伝統を担ってきた中谷家と、8年前に都市から越してきた杉山家は親戚関係にあったが、杉山が葬祭コンサルタント業を人見村に持ち込んだことで、家族間の溝は深かった。ただ、同い年の高校生の娘たちは、子どもの頃から親友のような存在である。
杉山の娘・遼は、母の形見である一眼レフカメラを愛用し、村に暮らす人たちのポートレートを 「遺影」と称して撮影してきた。中谷の娘・修子は、遼の写真が大好きでいつも率先してモデルになった。そんな修子と遼が迎えた高校三年生の夏。
この小さな田舎でセンセーショナルな出来事が起きる。それは、村に暮らす大人や子ども、すべての無名人たちの未来を、哀しみを伴う希望で包んだ。

▼公式サイト
https://stage.parco.jp/program/megashira



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