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7本の作品に出演した2020年に引き続き、2021年も連続ドラマ初主演「RISKY」や「ただ離婚してないだけ」、映画『花束みたいな恋をした』『街の上で』、『そして、バトンは渡された』など話題作への出演が続いた萩原みのり。最新作は、3年ぶりの単独主演映画となる『成れの果て』。「最初は役の気持ちが分からなくて戸惑った」という衝撃作に挑んだ理由や役作り、演じて感じたこと、公開前の心境などを聞いた。

見終わったときに小夜を突き放さないでもらえたら幸せです

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―― 『成れの果て』は、劇作家・映像作家として活躍するマキタカズオミが主宰する劇団「elePHANTMoon」が2009年に発表し、小劇場シーンを席巻した同名戯曲を、『gift』『恐怖人形』の宮岡太郎監督がメガホンをとり映画化。8年前の事件で心に傷を負って上京した小夜をめぐる衝撃のストーリーが展開する人間ドラマだ。萩原にとって『お嬢ちゃん』以来3年ぶりの主演作となる。

「3年ぶりの主演作という意識は全然なかったです。みなさんがそうおっしゃっていてそうなのかと気付かされました。どんな役でも、大小関係なく大変さは変わらないので、作品に挑むときは同じ気持ちでいます。ある種、悪役だったとしても、本人は悪役のつもりは絶対ないから、その中で悪ではない部分を意識します」

―― 本作のオファーを受けた際、小夜のことを理解できず、不安を感じたという。

「初めて脚本を読んだ段階で、小夜の気持ちを全く理解できなかったんです。寄り添いたいと思うし、寄り添いながら読んでいるつもりなんですけど、どんどん小夜が離れていく感覚がありました。話が進む中、小夜がとっていく選択がどういうつもりなのか理解できず、その選択に至るまでの辛さを考えました。どこまでつらくなったら、そんな答えにたどり着くんだろうと。その辛さを埋めていくことができるのかという不安がありました」

―― その中でオファーを受けた決め手となったのは?

「小夜の気持ちは、小夜になってみないと分からないな、というのが一番の理由です。 ある種、演じることができるというのは、役者の特権でもあるから、小夜が見た景色を唯一、彼女自身から見ること、感じることができるので、何かわかるかもしれない。小夜のことを知りたい気持ちもあるし、きちんとその気持ちを感じて、できることなら小夜を守りたくて、挑戦させていただくことにしました」

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―― 萩原が演じるのは、8年前のある事件によって心に傷を負い、上京した小夜。その事件に関わった男性が自分の姉と婚約したことを知り、居ても立ってもいられず帰郷する。彼女の苛立ち、過激な言動は周囲の人々を巻き込み、それぞれの隠された人間性を抉り出してゆく。

「小夜含めて、人ってめんどくさいなって改めて感じました(笑)。滑稽でもあるし、実際もそうだよなって。この作品、気が休まるシーンが全然ないんですよね(笑)。そんな中、お芝居をする上で人との距離感、対相手に対する距離感を丁寧に演じたいと思い監督に相談しました。お客さんが小夜に対して「何でそうなってしまうんだろう?」って思うだけではダメだと思ったんです。小夜の苦しさも含めて、その選択をとらざるを得ないことってあるんだって、そこまでついてきてもらうために、どうしたら作品の中で伝えられるのか。小夜の心の変化や見え方などを相談しました。また、小夜自身も普段そのことばかり考えているわけではなく、不意にトラウマが蘇ったり、ふと人の目が気になるときがあるけど、いつも鬱々としているわけではない。ただの普通の女性であることを大事にしたいと思いました。シーンとしては少ないですけど、友達のエイゴと一緒にいるシーンを大事にしたいなと思いました」

―― 共演は『千と千尋の神隠し』の主人公・千尋の声で知られる柊瑠美、『おんなのこきらい』の木口健太、『カメラを止めるな!』の秋山ゆずきなど。実力派キャスト達が、全身全霊を懸けて演じきり、極限の人間ドラマとなったが、現場の雰囲気はどんな感じだったのだろうか。

「現場の雰囲気は、映画の中と同じ感じでした(笑)。みなさん自分の映画の中の役と同じ距離感で、1番最初の現場での挨拶の時もなんだかちょっとよそよそしい感じもして、私は腫れ物なんだって感じました。何かあったことをなかったことにしている雰囲気。でも、なかったことにできていない。みんなからの何かあるよねって匂わせる顔、お姉ちゃんもお姉ちゃんとしてこっち見てくれない感じが、共演者のみなさんの視線や態度から漂っていて、小夜の感じたのはこういうことなのかもしれないと思いながら現場にいました。共演者のみなさんお一人お一人がものすごく丁寧に役に向き合っていらっしゃって作っていた感じがあります」

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―― 小夜のことを理解できたなと思えたシーンがあったという。

「1番最後のシーンです。そのシーンの最初の方でカットがかかると思いながらお芝居をしていたんですけど、そのまま最後まで撮ったんです。自然にポロポロと出てきた言葉をそのまま撮っていただきました。完成作を見るのが楽しみでしたし、一番あのシーンは新鮮な言葉でやりたかったから、ありがたかったです。力も抜けていたので、大事なシーンだと変に気負わず、自然にできたと思います。でも、そのシーンを撮ったあとは、みんなヘロヘロで憑き物が落ちたようにヨロヨロとしていました(笑)。疲れたというより、爆発して全部出した感じでした。小夜もずっと言えなかったことを言えて、同じ感覚なのかなって思いました」

―― 怒り、苛立ち、焦燥感…負の感情を爆発し続けた撮影中、萩原自身はどんな感情で向き合っていたのだろう。

「シーンを撮った後は、『ふう』って1回深呼吸すれば気持ちが良くなって、おさまる感じですね。出し切れたら全然大丈夫なんですけど、消化不良というか、集中力などの問題で全然出し切れなかったときの方が翌日までどんよりします(笑)。出し切れたときは、本当に憑き物が取れたような感じで軽くなるんです。大変なシーンがあると、私は器用ではないのでものすごく緊張するんですけど、終わった後は大切なシーンが1つ終わったって晴れ晴れとします。私は切り替えが得意な役者ではないので、泣くシーンの前など、『話しかけないでください』という雰囲気を出してしまうタイプです。いつか上手くなるかな、と思いながら過ごしていたんですけど、デビューしてもう10年経つのでこれはもう上手くならないんだって(笑)。不器用なタイプとして、受け入れていくしかないんだなって思っています」

―― 役と向き合うことに対しての怖さを常に感じているという。

「本読みの瞬間から本当に怖いんです。初めて役の言葉を自分の口から出す瞬間なので、全然眠れないんですよね。作品は撮り出したら終わってしまうので、そこで出し切らないともう取り返しがつかない。そのまま世に出てしまうので、毎回胃が痛いです。ずっと新体操をやっていたんですけど、新体操も散々練習をしても、本番でちょっと失敗したらもう終わりなんです。この作品含めて、すべての作品でそれは感じています」

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―― どの作品でも、役に対してある意味壮絶ともいえる覚悟を背負いながら演じている。それゆえ、完成した作品を前にしたとき、客観的に見られた作品は1つもないと語る。

「作品を見ながら、現場でこのときはこうだったなんて余計なことばかり考えてしまいます。自分の作品を1つの作品として見るのは、結構時間が経ってふと見たときだったり、見た人から感想を聞いたとき。レビューとかを読む瞬間が自分の中で終わる瞬間かもしれません。お客さんに届いた瞬間、見てもらえて感想を受け取った瞬間に終われるって感じます。この作品に限っては、レビューや感想を読むのにしばらく時間がかかりそうです(笑)。人間を描いている作品なので、賛否両論あるんじゃないかなと思っています」

―― 賛否両論あるかもしれないが、小夜のことは嫌わないで欲しい。役に寄り添い、守りたいと思いながら演じた萩原の切実な思いが伝わってくる言葉だ。

「お客さんがどんな反応されるのか。今まで出演させてもらった作品の中で1番予想がつかないです(笑)。公開前の今、不安ですね。男性と女性でも全然感想が違うと思うし、同じ女性でも全然意味がわからないって思う方ももしかしたら多いかもしれないし、公開してみないと全然予想がつかない作品です。でも、自分が演じさせてもらった役はとにかく好かれて欲しいという気持ちがあります。小夜が男性からも女性からも嫌われないでいてほしいです」

―― 小夜がラストシーンのあと、どんな人生を送るのか。思わず考えてしまう観客は多そうだ。

「それを考えてもらえること、小夜、大丈夫かなって思ってもらえることが1番嬉しいです。見終わったときに小夜を突き放さないでもらえたら、本当に幸せです」


Writing:杉嶋未来/Styling:清水奈緒美/Hair&Make-up:石川奈緒記

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(C)2021 M×2 films

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『成れの果て』

12月3日(金)公開


東京でファッションデザイナーの卵として暮らす小夜のもとに、故郷で暮らす姉あすみから連絡が入る。婚約が決まったという姉に祝福の言葉をおくる小夜だったが、その相手は、8年前に小夜の心に大きな傷を残した事件に関わった布施野だった。居ても立ってもいられず友人エイゴを連れて帰郷した小夜は布施野と8年ぶりに再会し、順風満帆な人生を歩む彼にいらだちを募らせる。そして小夜の出現をきっかけに、あすみに思いを寄せる幼なじみや事件現場に居合わせた布施野の友人ら、それぞれ思惑を抱える人々の業があぶり出されていく。

▼公式サイト
https://narenohate2021.com/

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