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復讐心に燃える元今川軍から真の織田信長を守るため、仕草や特徴を“完コピ”した個性豊かな影武者たちが「我こそ信長だ!」と主張する『3人の信長』。「甲」「乙」「丙」の3人の信長のうち、“貫禄はあるが、ときどき天然”の「乙」を演じた市原隼人に、役への取り組み方や撮影秘話を聞いた。

3人の信長の“命がけの嘘”を紐解きながら、観ていただけたら嬉しいです

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―― 劇場では多くの“原作モノ”作品が公開されているが、『3人の信長』は、渡辺啓監督のデビュー作であり、構想から7年以上温め続けたオリジナル企画。「もし信長の影武者がいたとして、それが3人だったとしたら……?」という奇想天外なアイデアは、同じ役柄を演じる役者の個性や持ち味をより一層引き出す効果も生み出した。

「枠にはまらない豪快さがありながら、民への気遣いも忘れない織田信長という男が、僕はもともと好きでした。『3人の信長』は時代劇ではあるものの、登場人物の話し方も現代とほぼ同じだし、キャラ設定もすごく面白い。とはいえ、誰かと同じ役を演じるのは僕にとっても初めての経験で、現場に入るまでどんな風になるのか全く想像がつかなくて(笑)。TAKAHIROくんはずっと音楽と向き合ってきた方ですし、岡田義徳くんは僕よりも10年長く生きている先輩で。同じ“信長役”といっても、演じる人によって役柄の捉え方や見せ方が『こんなにも違うものなんだ』と驚かされました」

―― 撮影は、映画『たたら侍』のために作った島根県出雲市の「たたら村」で、約1か月間に渡って行われた。キャスト同士、空き時間にサウナで顔を合わせることも多く、合宿所のような雰囲気もあったという。

「サウナに入りながら話したり、誰かの部屋に集まって朝までずっと話し込んだりして (笑)。昔から知っている仲間みたいに空き時間もずっと一緒に居たので、柔らかい空気感の中で芝居が出来ました。“いかに観客を欺くか”というのが『3人の信長』の醍醐味でもありました」

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―― 市原演じる「信長・乙」には、監督から見た市原自身のイメージも投影されている。本人はどのような思いで「信長・乙」という役柄に取り組んだのか。

「僕自身は、信長の豪快な部分もそうですが、問い詰められて自らの素性を話すシーンで、甲と丙の前では見せない繊細な一面も出せたら……と思いながら演じました。『3人の信長』は、全体的には痛快なエンタテイメントなんですが、時に涙を誘うような場面やサスペンスの要素もあって、観ている人の想像次第で『十人十色』のストーリーが生み出されていくのが面白い。歴史にはもともとロマンと空想がつきものなんです。だって、その時代にタイムスリップして実際に見てきた人は、誰一人としていないわけですから。だからこそ、時代劇をやる時は時代考証もしっかり踏まえつつ、平和な時代を生きている僕らを通して、当時の価値観や生活スタイルを描くことも大事なんじゃないかと思います。せっかくやるなら、いましか出せないような雰囲気も出せたらいいなって」

―― どうにかして真実を暴こうとする元今川軍から「水攻め」にあったり、本物の信長を知る人物に見られても顔バレしないよう、3人で「変顔」を練習したり。“役者魂”を感じさせる演技の幅広さも本作の見どころだ。

「何をするにも僕は中途半端が嫌いなんです(笑)。だから今回も相手役の方に、『観客は普段見られないものが見られる瞬間が楽しいんだから、手加減しないで本気でやってくれ!』って、自らお願いしました。その結果、ホントに大変で苦しかったんですけど、それも含めて楽しかったです。そもそも役者って、“笑わせる職業”じゃなくて“笑われる職業”だから、やるからには変顔も全力でやって笑ってもらえたら嬉しいなと思ったんです」

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―― もはや「誰かのために忠誠を尽くす」という生き方は、今の日本ではほとんど見られない。そんな時代を生きる上での指針は、誰かが発する言葉ではなく、自らの信念の中にある。

「今は大義も主君もない時代。日本という小さな島国においても、何を指針にしたらいいのかわからなくなっているところもあります。でも、だからこそまずはいろんな人たちの意見を聞いた上で、もう一度自分の経験や知識と照らし合わせて考えたことこそが、自身の拠り所になっているような気がします。みんなが言ってることが必ずしも正解とは限らないし、間違いであるとも限らない。だったら、誰かの言葉を鵜呑みにして後悔するより、自分を信じて後悔するほうがいいじゃないですか」

―― とはいえ、もともと市原自身は「嘘が苦手」。「いつも騙されてばかり」なんだとか。

「小学校も中学校も同じ仲間たちとずっと一緒に育ってきたから、僕には背伸びをする必要がないんです。東京って、隣の部屋に住んでる人の顔も知らないのが普通だったりしますよね。僕はエレベーターで会った人にも普通に挨拶しちゃう方なんですが、都心で暮らす友だちに『顔見知りでも知らないふりをするのが東京のやり方だから』って言われたのがすごく悲しくて(笑)。僕が住んでるところは地域密着型で、良いことをしても、悪いことをしても、すぐに噂が広まるような場所。だからもともと嘘をつくのは苦手で、好きな人には『好き』って率直に伝えるし、嫌いな人にも『俺はお前が嫌いだ』って正直に話します。僕はすぐに信用しちゃうから、いつも騙されてばかりです(笑)」

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―― 日頃からハードな筋トレを欠かさず、鍛え抜かれた「筋肉美」を誇る市原。「ストイックに自分を追い込むのが好きか」と訊ねると、興味深い役者論が飛び出した。

「“役者”ってそもそも虚像じゃないですか。基本的には素の“市原隼人”の部分が表に出ていることは少なくて、お客さんと触れ合う大部分はほぼ役柄を通じた“フェイク”なわけです。でも、フェイクの中にもリアリティを求めたくなるのが、“役者の性”だと思います。役者の仕事って、なかなか数字で判断できるものではないから、実はすごく難しい。僕は『数字は嘘をつかないから!』という理系の親に厳しく育てられましたが、いまは数字じゃ測れないようなものを追い求めている。だから人から『市原隼人ってこういう役者だよね』って言われても、死んで墓に入るまでは、自分はその評価に納得できない気がします(笑)。いつまでも“未完成”なままでいられるのが、役者の面白さなのかもしれません」

―― 写真好きの市原にとって、もはやカメラは切っても切り離せない“相棒”ともいうべき存在だ。今年6・7月には銀座と大阪のキヤノンギャラリーで、写真家の立木義浩氏とともに自身初となる写真展も開催。『3人の信長』の撮影現場中にも、「時間が空いたらカメラ片手に出雲大社に行ったり、大自然の中を歩き回ったりして写真を撮っていた」という。

「写真って、僕にとっては“土産話”みたいなものでもあります。僕の友達は地元から外に出る機会が少ないから、僕が海外で撮った写真を見せると、みんなすごく喜んでくれるんです。『僕の目に世界はこんな風に写ってる』って、見てくれる人に向けて発信できるところも写真の魅力の一つ。動画と違ってすべてが決定的瞬間であり、歴史においても絶対に嘘をつかないところが好きです。僕にとっての写真は“時間を止める魔法”。これほど想像力を掻き立てられる存在は他にありません。切り取られた瞬間の前後に、見た人それぞれ違った物語が生まれるところに、写真の面白さがあると思っています」

―― 「見た人それぞれ違った物語が生まれる」部分は、どこに注目するかによっても楽しみ方が変わる映画『3人の信長』にも共通する。最後に改めて本作の見どころを聞いてみた。

「『3人の信長』は、肩の力を抜いて楽しめるエンタメ作品です。“時代劇=古い”っていう固定概念に収まらない映画になっているので、老若男女問わずいろんな世代の人に、先入観なく観て欲しい。観終わった瞬間、純粋に“楽しかったな“って思ってもらえるパワーのある作品なので、ぜひとも3人の信長の“命がけの嘘”を紐解きながら、観ていただけたら嬉しいです」


Writing:渡邊玲子

インフォメーション

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(C)2019「3人の信長」製作委員会

MOVIE

『3人の信長』

9月20日(金)公開


ときは永禄13年。今川軍の蒲原氏徳は頭を抱えていた。
桶狭間の戦いで今川義元を破った織田信長。義元の家臣である蒲原は復讐に燃え、信長の首を狙っていたのだが、家来が捕らえてきた信長はなんと3人!3人のうち、2人は影武者に違いないのだが・・・
本物の首を討ち取らなければ、復讐どころか、今川軍はいい笑いもの!?必死にあの手この手で本物をあぶり出そうとする蒲原たち・・・だが、しかし!!影武者の信長たちも、本物を守るために命懸けで自分を猛アピール!
果たして、本物の信長は誰だ!?

▼公式サイト
https://3nin-nobunaga.jp/

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