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地方競馬を舞台にした作家・古内一絵の同名小説が原作の土曜ドラマ「風の向こうへ駆け抜けろ」で、厩務員・木崎誠を演じる板垣李光人。連続テレビ小説「なつぞら」の大森寿美男が脚本を手掛け、新人女性騎手・芦原瑞穂のひたむきな情熱が、人生を諦めていた人々の心に火をつけ、廃業寸前の厩舎が桜花賞に挑んでいく物語を描く。馬には優しいが、人には心を閉ざした失声症の木崎役の板垣に、役へのアプローチや馬との撮影について、作品の見どころを聞いた。

誠が明らかに変わったという瞬間に注目してほしいです

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―― 原作を読んだとき「新鮮」な印象を受けたという。

「競馬の中でもジョッキーや厩務員という職種にスポットを当てている作品で、新鮮な印象がありました。競馬に関しての知識もほとんどなく、イメージだけですがジョッキーになるのは男性と思っていました。競馬の世界で女性ジョッキーが奮闘し、成長していく姿を描いた作品ですが、社会の縮図のように感じました」

―― 初めて競馬を見た感想を聞いた。

「出演をきっかけに、人生で初めて競馬を見ました。想像していた以上にスピードが出るし、シンプルな感想ですが“すごい”と思いました。アンダーグラウンドなイメージを持っていましたが、とても華やかな世界だという印象に変わりました。ただ、ドラマの舞台は厩舎なので、派手で華やかなレースシーンとは違う雰囲気でした」

―― 厩務員を演じるために、どのようなアプローチをしたのだろうか。

「大河ドラマで少しだけ乗馬のシーンがあり、馬と接した経験はありましたが、今回は乗る側ではなく厩務員なので、馬との距離感が全然違います。撮影に入る前に、厩務員の仕事を教えていただきながら、馬に接する機会もいただきました。作業内容を教えていただいても、ずっと馬と接している方のように馬と接することはできないので、いかにそれっぽく見えるかをいろいろとレクチャーしていただきました。一番大変だったのは馬房の藁の敷き変えです。すごく力が必要な作業でした」

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―― 声を使わない演技は初めての表現方法だったと振り返る。

「大変さ、不便さを1回知っておきたいという気持ちで休日に出かけたときに声を使わずに過ごしてみましたが、それ以外は、普段の役作りとそこまで大きな違いはなかったです。監督からは、平手友梨奈さん演じる瑞穂に対して、誠が自分から心を開いていくイメージでという話がありました。すごく心を閉ざしている状態から、瑞穂の姿から刺激を受けて自分で一歩踏み出す感じです」

―― 共演者とはざっくばらんな会話を楽しんだという。

「平手さんは同学年ですごく話しやすかったですし、シーンについても“こんな風にしよう”“やりにくかったらこっちにする?”など演技の話や同学年ならではの話をたくさんしました。小沢仁志さんは年齢も上ですし、演じられている役の印象もあって少し怖かったのですが、とてもフランクに話しかけてくださり、作中のような“曲者感”はありませんでした(笑)」

―― 「馬が暴れているシーン」の撮影は吹き替えなし、すべて板垣が演じた。内藤愼介プロデューサーは「暴れている馬の近くに居るだけでも危ないのに、手綱を離さず、馬を押さえるシーンをサラッとやっている板垣さんに、撮影の間、私と指導の先生はドキドキでした。すごいことなんです!」と明かす。

「いろいろと指導してくださった方からも、馬に乗るのがうまくなる人はいるけれど、馬を扱うのが上手になる人はなかなかいない、と言われました(笑)。馬が暴れるシーンでは、実際に馬を興奮させてから撮影しなければいけないのですが、馬にはテストや本番の違いはわからないから、“よーい、スタート”の掛け声で暴れちゃいます。僕はずっと手綱を持っていなければいけないので、結構大変でした」

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―― 内藤プロデューサーは「馬が暴れるシーンでは、騎手役の平手さんの方に目が行きがちですが、どんな時でも馬を愛し信じて行動する誠の馬への思いは必見です。」と強調する。

「1ヶ月ちょっと一緒に過ごしてきたので、撮影の最終日はとても寂しかったです。歩調や呼吸が合っているのを感じられるようになっていたし、手綱を引いているときに首を下げている姿を見ると“安心しているんだな”って分かり、心が通じたようですごくうれしかったです」

―― 馬との共演を通して新たに芽生えた気持ちはあるのだろうか。

「時代劇での乗馬とは全然違い、スピードも出るし、体勢もすごく辛そうだし、いつ落ちるかもわからないので、ジョッキーの方は大変だろうなと思いました。馬がすごく好きになったので、もっと一緒にいたいという気持ちにはなりました。ペットとしては飼えないから、馬主になりたいな、と思ったりしました(笑)」

―― ファッション好きの板垣にジョッキーの勝負服について聞いた。

「大好きなブランドがちょうど乗馬、ジョッキーのスタイルを落とし込んでいるルックが多いコレクションだったので、そういう意味でワクワクして見ていました。瑞穂の勝負服は胸に薔薇がついたデザインで、派手な勝負服が並ぶ中でも目立っていました。僕だったら、目とか心臓をモチーフにしたデザインがいいかな、なんて思います」

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―― 作品の見どころとファンの方へメッセージを!

「誠が明らかに変わったという瞬間は注目してほしいです。平手さんとのやりとりを経て出来上がったシーンで、演じていても印象的でしたし、芝居の生感、おもしろさが伝わると思います。引退寸前やレースで使い物にならない馬のいる廃業寸前の緑川厩舎に流れ着いてきた人たちの物語です。人生を諦めている人たちの中に、負けず嫌いで熱のある前向きな瑞穂が入ってくることで、人も馬も自分を取り戻し前を向いていきます。力をもらえるような作品になっているので、ぜひ楽しんでください。馬もがんばっているので注目していただきたいです」

―― 来年20歳になる今の心境を教えてもらった。

「いろいろと経験させてもらった10代にやり残したことはない、と今年の中盤くらいから思っていました(笑)。具体的に何歳でこんなことをしたいとイメージするタイプではないのですが、10代から20代は、越えるべき壁のようなものがあると感じています。その壁が出てくるたびに、決意表明とはいかないまでも、自分の表現を出して再出発する感じで乗り越えていけたらいいなと思っています。新しいことをやるよりも積み上げたものを20代の色にしていくというイメージです」


Writing:タナカシノブ

インフォメーション

TV

土曜ドラマ『風の向こうへ駆け抜けろ』

12月18日、25日(土)よる9時~10時13分(前・後編)
NHK総合


新人女性騎手、芦原瑞穂(平手友梨奈)は養老牧場を営んでいた父を震災後に亡くした。その後、中央の競馬学校を卒業し、プロデビューするものの成績は上がらず苦しんでいた。そんな瑞穂を迎え入れたのは、地方競馬の鈴田競馬場の緑川厩舎だった。そこは、今にもつぶれそうなボロボロの厩舎で、やる気のない調教師・緑川光司(中村蒼)と、頑固で融通の利かないベテラン厩務員たちと馬には優しいが人には心を閉ざした失声症の若い厩務員がいた。そこは、社会のあぶれものばかりが居る藻屑(もくず)の漂流先と言われ、他で使い物にならないと言われ者たちのたまり場だった。

▼公式サイト
https://www.nhk.jp/p/ts/WVYM7P8KPY/



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