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CM界で活躍する箱田優子の初監督作『ブルーアワーにぶっ飛ばす』で主演を飾る夏帆。仕事にも、人生にもぼやいてばかりの30歳のCMディレクターを表情豊かに自然体で演じ、新境地を開拓! 夏帆が「出会いたかった役に出会えた」と語り、代表作の一つとなるであろう本作への思いや魅力を語ってもらった。

15歳のころの自分と決別し、乗り越えていくことが、砂田という役を演じる上で必要でした

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―― 本作への出演は、脚本、監督を務めた箱田優子監督からの手紙が大きな決め手となったと話す。

「監督から脚本とお手紙をいただいて、なぜ私にオファーしたのかと、この映画で何を描きたいのかということが書かれていて、それを読んだときにぜひやらせてもらいたいと思いました。監督とお会いしたことはなかったんですけど、私が過去に出ている作品だったり、10代に入ってからの私、20代に入ってからの私、その変化も見てくださっているなという印象を受けました。そして、そういうことをふまえて、私は今、こういうことに悩んでいて、いろいろ揺らいでいる時期なんじゃないか、だからこそ演じてほしいとおっしゃっていただいて。もちろん、お手紙だけでなく、脚本を読んでとても面白かったことも、出演を決めた理由です」

―― 箱田監督と会って話した際、感覚的に近いものを感じ、一緒に映画を撮りたいと強く感じたという。

「実際にお会いして、いろいろお話をする中で好きな漫画だったり、映画だったり、嫌いなものも似ていて、感覚的に近いものを共有できる方だなと思いました。そういう監督に今まで出会ったことがなかったので、これはすごく良い出会いだと思いましたし、一緒に映画を作ってみたいと思いました」

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―― また、今作では、彼女の初主演作『天然コケッコー』のスタッフ陣との再タッグも、夏帆にとって大きな意味を持つこととなった。

「撮影部、照明部、録音部が、『天然コケッコー』のメンバーなんです。十数年の時を経てまたご一緒できるということにとてもプレッシャーを感じました。私がその当時の自分にどこか囚われているのを感じて、だからこそ砂田という役を私に演じてほしいと思ってくださったんだと思います。監督は役からはみ出た、その人自身から滲み出る何かが見たい、とおっしゃっていて、そういう意味で砂田と私自身がリンクするところがありました。私が10代のころから仕事をしてきて、その積み重ねてきたものが砂田という役を演じる上で必要で、砂田という役を誰にしようかってなったとき、監督は私だと思ってくれた。私がこの役をやる意味があったんだなって、感慨深いです」

―― 夏帆にとって、演じる意味があった砂田という役どころ。夏帆自身、砂田には多いに共感したという。

「砂田は30歳で私は28歳と年齢も近いですし、砂田が抱えている葛藤はとても理解できました。もう大人って言われる年齢だけど、大人になりきれない。 子どもの頃はもっとちゃんとした大人になると思っていたけど、実際、今でもいろんなことに右往左往して、思い描いていた大人になれていない。立派な大人にもなれていなくて、だけど、時が過ぎていくことは止められない。そんな中で自分は年を重ねて、親は年をとって、おばあちゃんも死に向かっていくということに直面し始めるのが、30歳ぐらいじゃないですか。親の年齢や育ってきた環境などで刺さるところは違ってくると思いますが、そのことに対する揺らぎだとか、焦りみたいな感情が湧くところは、すごく共感しました」

―― 恵まれているのに、満たされず、孤独を抱えている砂田。その心情も理解できると語る。

「はたから見れば、仕事も充実していて、優しい夫もいるのに、それでも満たされない。なんだかわからないけど、寂しい。誰かと共有できるわけじゃないけど、そういう寂しさは私もありますし、きっとそれは誰しもが抱えていることなのかなって思います。子どものころの自分と、今、現在の自分。子どものころはもっと伸びやかで自由で、無敵だったのに、歳を重ねるごとになんだか窮屈だなって。なんでこんなに生きづらいんだろうって、私も日々感じることはあって、それはうまく説明できない感情だと思うんですよね。それが今回、脚本を読んですごく繊細に描かれていて、こういうことを思っていたのは私だけじゃないんだって思いました。そういう感情をお芝居として演じてみたかった。これだけ自分をさらけ出し、等身大の今の自分を切り取ってもらうというのは、なかなかないことだと思います」

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―― 砂田は、箱田監督自身が投影されている役どころ。夏帆は役作りも兼ねて、クランクイン前のロケハンに同行し、監督とのコミュニケーションを密にとった。

「撮影に入る前から、監督とお会いする機会を積極的に作りました。砂田は地元が大嫌いで、家族にも距離を感じている。そもそも箱田監督ご自身の体験や環境が反映されたキャラクターなので、一度、監督のご実家を訪問し、その関係性を肌で感じたいと思っていたんです。わたしは東京出身なので、地元に対するコンプレックスがあまりまくて、実家に帰省するという経験もない。砂田を演じるうえで、この訪問はとても重要なポイントだと思いました。あとは砂田の親友役のシム・ウンギョンちゃんとも撮影前にごはんに行ったりしてコミュニケーションをとりました。撮影は11日間と短かったんですけど、リハーサルも実際に撮影する場所でやって、準備を入念にしたので、いざ撮影が始まったら驚くほどあっという間でした(笑)。本当に駆け抜けるように過ぎ去っていきました」

―― クランクアップ時、砂田でまだいたいという感覚が強かったと振り返る。

「クランクアップのときに、『え、終わり!?』とどうしたらいいかわからなくて、頭が真っ白になりました(笑)。達成感よりも終わっちゃったんだという、なんとも言えない気持ちになって、もうちょっと演じていたかったなとも思いましたし、良い時間を過ごせたなっていう思いもありました。この作品の現場にいられたことは、この上なく幸せで、だからこそすごく怖くて。これで何もできなかったらどうしようと思って。でも、振り返ると、本当に楽しかったです。私自身と砂田の心境をはじめ、シンクロする部分が多くて、こういう作品もあるんだなって思いました。出会うべきタイミングで出会ったんだなって。そういう作品に出合うと、もうちょっと頑張ろうって思えるし、仕事は大変なこともあるけど、続けていたら、良いことがあるって思えるんですよね。この作品と出会って、またもう少しこの仕事を続けられるかもって思いました」

―― 作品の完成時、監督に「夏帆ちゃんにお願いして良かった」と言われたことが一番嬉しかったという。

「監督は一緒に悩んでくれて、そんな監督と一緒に作れて良かったですし、私で良かったと言ってもらえて嬉しかったです。監督と本当にいろんな話をしました。作品についてやプライベートのことまで、撮影に入る前にここまで監督と距離を縮めて現場に入るのは初めてでした。本来映画を作る上であるべき過程なのかもしれませんが、なかなか時間がなくて。でも今回は撮影前から監督と関係性が築けましたし、それは監督だけに関わらず、ウンギョンちゃんやスタッフの方々とも関係性を築けて、この映画をどういう映画にしたいのか共有できました。こういう現場に出会えたのはすごく良かったです。こうやってまた素敵な作品に出会いたいと常に思っていますが、作品も縁ですからいろいろなことの巡り合わせでしか出会えない。そういう作品に出会ったときのために、ひとつひとつの作品と真摯に向き合っていきたいと思います」

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―― 夏帆自身の好きなシーンを尋ねると、たくさんのシーンを挙げ、作品への愛着が伝わってきた。

「たくさん印象的なシーンはありますが、スナックのシーンの後、ウンギョンちゃんが寝ていて、私が窓辺で子どものころは無敵だと思っていたと話すシーンが好きです。砂田の抱えている寂しさみたいなものが見えて、良いセリフだと思いました。ラストシーンも好きですし、おばあちゃんとのシーンも印象的だったし、挙げていくと切りがないぐらい(笑)。全編通してすごく好きです」

―― 現在28歳。30代へ向けての気持ちを聞いてみた。

「25歳ぐらいまでは、30歳を意識していましたが、ここ最近は年齢は関係ないのかなと思っています。30はキリがいい数字ですけど、だからといって30までに何かしなきゃ、というのはなく、あまり構えずに過ごそうと思っています。20代後半は自分と向き合って折り合いをつける年代なのか、揺れ動いて、なかなか大変な時期ですよね。それまでは誰かに憧れたり、こうなりたいって理想があったけど、30前後はそうじゃない自分ともうまく決着をつけてやっていかないといけない。この映画では砂田のそういった心の変化を疾走感たっぷりに描いていて、楽しめると思います」


Writing:杉嶋未来

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(C)2019『ブルーアワーにぶっ飛ばす』製作委員会

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『ブルーアワーにぶっ飛ばす』

10月11日(金)公開


30歳の砂田は、東京で働くCMディレクター。仕事にも人生にもぼやいてばかりな日々を過ごしている。そんなある日、祖母の見舞いに行くため、砂田は自由奔放な友人・清浦と共に、大嫌いな地元・茨城へ帰ることに…。
映像クリエイターと作品企画の発掘プログラム「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2016」で審査員特別賞を受賞。

▼公式サイト
http://www.blue-hour.jp/

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