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シリアスからコメディーまで変貌自在に演じ分ける若手実力派俳優として引っ張りだこの仲野太賀。2月7日には、2019年・第20回東京フィルメックス観客賞を受賞、一日一日を大切に生きるふたりの心情を美しい映像とサウンドで瑞々しく描く映画『静かな雨』の公開を控える。

全員野球みたいな感覚で一緒に映画を作れたことが本当に楽しくて幸せでした

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―― 事故により短期間しか新しい記憶を留めておけない女性・こよみと、彼女と向き合う青年・行助を描く本作。「羊と鋼の森」で知られる宮下奈都が2004年に発表し、第98回文學界新人賞の佳作に入選した小説を、『四月の永い夢』『わたしは光をにぎっている』の中川龍太郎監督が映画化した。仲野と中川監督は『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(2015年)以来のタッグとなる。

「監督とはほぼ同世代で、一緒に歩みをそろえて映画を作れる数少ない同世代の仲間です。今回は監督にとっては初の原作もので、自分に少しでもできることがあればと参加しました。原作は出演が決まってから読ませていただいたのですが、すごく美しい物語で、純粋でもあり、その中で生活のささやかな幸せや光が宿っていると思いました」

―― 監督やスタッフとクランクイン前から長い時間をかけてディスカッションを重ね、撮影に臨んだ。

「撮影が始まってからだと制作日数はそんなにないですし、時間もないので、クランクイン前に話せるだけ話したいと思いました。疑問点や作品への思いを共有するというか。制作会社の東京ニューシネマのみなさんも受け入れてくださって、ディスカッションする時間がたっぷりあってありがたかったです。これまでこういう機会はあまりなくて。リハーサルの時間をたくさん設ければできると思いますが、どの作品も時間がない中で作りますし、なかなか難しいと思います。僕たち俳優部はスタッフさんたちが積み上げてくださった中、参加することが多いので、前段階のところから監督といろんなコミュニケーションがとれたのは良かったです。役についてもですが、この映画はどこに向かうべきか、そういう話し合いができたのが大きかった。主人公を演じる上でどうしても自分が映る時間が長くなり、そういう意味で行助を通した映画という部分、映画を通した行助という両面を行き来しながら、いろんな話し合いができました。僕にとっては、監督とこの映画についての作戦会議をしていた感覚です」

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―― 演じる行助は、自分は好きになった人が記憶を失っても、献身的に支える優しい青年だ。

「とても難しい役でした。とても真っ直ぐで純粋な話でありながら、展開はとてもシンプルなので、行助とこよみのやりとりにいろんなものが宿ってないといけないと思いました。行助は足が不自由でそれがコンプレックスだったと思うんですよね。そのコンプレックスも行助の人間性だと思いますし、なおかつそういう人は他人の痛みに敏感な気がして。人の痛みに寄り添える人間だと思いました。それがきっと行助とこよみをつなぎとめる部分で、そういう優しさや健気さを丁寧に演じられたらいいなと思いました」

―― そんな彼があることで嫉妬するシーンがあり、そのときの行助はさらに人間味を感じられ、彼への愛おしさが倍増する。

「そう思ってもらえたら、嬉しいです。優しいだけの人では、この現実は終われないと思うんですよね。実際にこういう状況はなかなかないかもしれないけど、優しさだけでは続かないと思うし、綻びが出るはず。そういうところに行助の人間味みたいなものが出てくるだろうなと思って、そのシーンは大切にしました。そんなところもありつつ、やっぱり純粋さにも溢れているという部分も意識しました」

―― こよみを演じるのは、乃木坂46を卒業された衛藤美彩さん。その衛藤さんとのコミュニケーションも大事にした。

「衛藤さんとの、会話ややりとりは自然とありました。同い年だったので、一緒にお昼にお弁当を食べたりして、いろんな話をしました。衛藤さんはすごく気遣いのある方で本当に優しかったですし、現場に来るだけでパッと明るくなって救われました。衛藤さん自身もすごく芯があって、こよみと共通点はあると思いました」

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―― 行助とこよみの関係性については?

「20代後半の二人で年齢的に若々しいという感じでもないんですけど、それでもすごくピュアで、自分たちの欲望の手前に優しさがちゃんとあるんですよね。それは素敵な関係性だと思いました」

―― 愛する人の記憶が短時間で失われてしまう。その状況について思うことは。

「演じる上で想像しました。やっぱりすごく辛いことで、そういう状況と向き合うのは毎日が大変だと思います。行助がなんとか頑張るけど、途中で綻びが出るのはリアリティがあると思いました」

―― 同世代の中川監督と再び組み、また刺激を受けたという。

「中川監督は若いけど、しっかりビジョンがあって、それに邁進していく行動力がすごくある方なので、その行動力を尊敬しています」

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―― 完成作を観て、この作品への愛情がさらに増したようだ。

「いろんな要素がこの映画にはあって、宮下さんが書いた原作のピュアで美しい部分を核にして、個性的で素敵なキャストの方々がいらして、素晴らしい映像に音楽があって、それらを中川監督という才能が集約し、形になったことにほっとしました。僕にとっても、同世代の監督とこのようにできる機会はなかなかないですし、撮影の期間、スタッフの方々と一致団結して、全員野球みたいな感覚で一緒に映画を作れたことが本当に楽しくて幸せでした。一人でも欠けたら、全然違う形になっていたと思います」

―― 2020年も『今日から俺は!!劇場版』、石井裕也監督と再タッグを組んだ『生きちゃった』が公開されるなど話題作が続くが、今後の俳優としての目標は?

「気づいたら30代が近づいてきたので、20代でしか残せないものをしっかり残して、30代に向かっていきたいです。そういう意味で作品選びも慎重にして、一作一作重みを持って演じられたらいいなって思います。いい作品と出会っていきたいです」


Writing:杉嶋未来

インフォメーション

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(C)2019「静かな雨」製作委員会 / 宮下奈都・文藝春秋

MOVIE

『静かな雨』

2月7日(金)公開


たとえ記憶が消えてしまっても、ふたりの世界は少しずつ重なりゆく
大学の研究室で働く、足を引き摺る行助は、“たいやき屋”を営むこよみと出会う。
だがほどなく、こよみは事故に遭い、新しい記憶を短時間しか留めておけなくなってしまう。
こよみが明日になったら忘れてしまう今日という一日、また一日を、彼女と共に生きようと決意する行助。
絶望と背中合わせの希望に彩られたふたりの日々が始まった・・・。

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