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『君の膵臓をたべたい』で日本中の涙をさらった月川翔監督の最新作は、電撃小説大賞を受賞、佐野徹夜の同名デビュー小説を映画化した『君は月夜に光り輝く』。監督・脚本を務め、原作のファンタジックな設定を美しく描きつつ、“死生観”をテーマに人々が前を向いて生きる意味を問いかける青春純愛映画を作り上げた。月川監督に作品に込めた思い、主演の永野芽郁、北村匠海の魅力について聞いた。

難病の女の子が出てきますが、生きていくということについての映画にしたいと思いました

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―― 原作の出会いは、本作のプロデューサーからの紹介だったという。そして、すぐさま物語に魅了されたと監督。

「岸田(一晃)プロデューサーが口頭でこういう物語があるんですってあらすじを話してくれて、そのときに面白そうだと思って、数日経っても頭の中から消えなかったので、読んでみたいですとお願いをしました。当時まだ発売されていなかったので、発売を待って、発売された日に買って読みました。映像化する上でこうしたいなっていうのがすぐに浮かんで、プロデューサーにアイデアをお送りしました。口頭で聞いていたときから、この物語に惹かれていましたね」

―― 映像化する上で大切にしたこと、意識したのは、“命の輝き”を描くことだった。

「この作品は発光病というかなり奇抜な設定で、人が光るというのをどういう意味合いで捉えて映画にすべきなんだろうと自問自答しながら脚本作りをしました。原作に“死が近づくにつれて輝きが強くなる”という設定があったのですが、これが命の輝きにも見えるようにしたいと考えました。そこで発光病を生と死の両方の象徴として描こうと方針を定め、死が近づくことと、まみずが生きる喜びを全身で感じている場面に絞って描くことにしました。2017年の秋には脚本を書いていて、そのあと僕は2本映画を撮っていて、撮影を終えてから改めて読み返して、書き換えたものを原作者の佐野さんにも見ていただき、完成に至りました。自分で脚本を書きながらも、間をあけて読むとすっかりお客さんと同じ状態で読めて見えてくるものがあるので、別の作品を挟んで戻ってくるのがいい方向に向いたなと思っています」

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―― 主演の永野芽郁、北村匠海ら役者陣からの信頼がとにかく厚い月川監督。演出する際、大切にしていることは?

「役者がそのキャラクターをどう捉えたのかを聞きたいと思っています。僕が思うように、いいなりになって動いてくださいとなると、自分が想像したものしか作れないんですよね。共同作業なので、自分の想像を超えてほしいと思っていて、役者さんがどう考えているのかを大切にしています。ある程度、自分はこうだと思うものは持っていきつつ、基本的にはどう考えているのかということを聞きます。このシーンのまみずはどうなりそう?とか。それを話しながらやってみて、やってみたらこうでしたとか、僕からはこう見えたけど、どう思う? とディスカッションしながら作っていきます。今回は特に固めすぎず、新鮮なお芝居を撮りたいと思ったので、テストをやらずにいくことを最初に伝えて、ファンタジーだけど生っぽい自然な息遣い、今まさにその出来事が目の前で起こっているようにお芝居をすくい取っていきたいと思いました」

―― 映画では初タッグとなる永野芽郁、『君の膵臓をたべたい』でも組んだ北村匠海の印象は?

「芽郁ちゃんは技術が確実にあるんですけど、最終的に感覚でぽんと投げてくれるので、決まった芝居を見ているなという感じではなく、今まさにこの人が生きていると思わせてくれる新鮮さがあります。一発目が一番いいんですよね。こうなるとどうかなってリクエストするよりも、最初に彼女から出てきたものがすごくいいので、テストもテイクも重ねずにやれたのが良かったなと思っています。実際、どちらもできる方で、朝ドラではきっちりリハーサルを重ねるスタイルだったと伺ったので、今回はお芝居が新鮮なうちに撮る方針にしました。相手のお芝居を受けて反応も変わるし、素晴らしい掛け合いになったと思います。
匠海くんは全幅の信頼を置いている役者さんです。彼ならどんな芝居でも受けてくれるだろうという信頼感があります。今回、芽郁ちゃんがどんなに自由に動いても、匠海くんならすべて受け止めてくれるだろうって思いました。不確定要素のある演出でも、彼がいてくれたからやれました。彼ありきで撮影の方針が決まっていきました。カメラマンも『君の膵臓をたべたい』のときと一緒で、匠海くんの動きは掴めています。さあ、芽郁ちゃんは何をしてくれるんだろうって待ち構える感じでした。毎回、一緒に作ってくれるのが匠海くんのいいところというか、スタッフともすごくコミュニケーションをとるし、経験を積んできているはずなのに、中学生のときに会ったときのままのイノセントな空気をまとって成長してくれています。撮っていて楽しいですね」

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―― 永野&北村の対談で、北村が月川監督には引き寄せの力があると語っていたが…。

「天候に恵まれたんですよね。雨降っているから無理かもしれないと思っていたら、雨が止んで夕日が出るとか、そういうことが結構ありました。そういうとき、匠海くんはカメラマンと一緒に喜んでくれるんですよね。そういうのを含めて、共同作業をしているって感覚になります。今回は一緒にどう作ろうかってワクワクしてきます」

―― 屋上でまみずが衰弱している中、卓也に最期の代行を頼むという感動的なシーンがあるが、このシーンで月川監督は涙したという。

「冷静に見ないといけないと思いながら、見ていたら泣いてしまいました。モニターを見ていて、パッと顔を上げたらスタッフもみんな泣いていて、内容をよくわかっている人たちが見ているのに号泣という。今まさに2人が目の前で掛け合いをしているのを目撃した感覚に現場がなっていました」

―― まみずの両親、卓也の母など、大人パートも感動的だ。

「僕は娘がいるので、及川光博さん演じるまみずの父親のシーンはぐっときました。原作になかったんですけど、お父さんだってまみずに会いたいはずだよねと思って作りました。まみずと卓也は屋上でプロポーズごっこをやるから、卓也とまみずの父親は結婚の挨拶ごっこもやるかなと思って。それがなんとなく親子らしいかなと思って、ワンシーン書いて作りました」

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―― これから本作を観る人へ向けてメッセージを。

「難病の女の子が出てくる話というと、悲しくて泣けると思われるかもしれませんが、あくまでも生きる、生きていくということについての映画にしたいと思いました。限りある時間で濃密な時間を生きた人の話です。代行するというのがこの作品の新しさだと思います。やがて、一人になってしまうかもしれないけど、2人で生きられる話だなっていうところにもこの作品の新しさがあるので、そこを楽しみに観ていただけたら嬉しいです。決して悲しい映画ではないです」

―― 最後に。2016年より活動の場を長編映画に移し、『君の膵臓をたべたい』(17)をはじめ、『となりの怪物くん』(18)、『センセイ君主』(18)、『響 -HIBIKI-』(18)など話題作を多数手掛け、青春のまぶしさと切なさを生き生きと活写してきた月川監督。この2、3年の精力的な活動を通して、今、感じていることとは。

「お芝居を撮るということに関しては、CGとかアニメとか、完璧を追求したらどこまでもいけるので、細かい精度を上げるよりも実写の場合は、その瞬間にしか撮れない芝居を狙いたいというモードになってきた中、『君は月夜に光り輝く』を撮ることができました。がっちり固めるのもいいなと思いつつ、この作品を撮る上では、何回もこの時間を生きられるわけじゃないというものにシフトしていきました。この数年、いろんなジャンルをやらせていただいて本当にありがたいです。新しいジャンルもやっていきたいという気持ちがあります。アクションをやりたいですね。自主映画を撮り始めたときは、本当にアクションをやりたくて、拳銃で撃ち合っているようなものから撮り始めていました。今は青春映画やラブストーリーが多いのですが、アクションをやりたいという気持ちは未だに捨てずにいます(笑)」


Writing:杉嶋未来

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(C)2019「君は月夜に光り輝く」製作委員会

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『君は月夜に光り輝く』

3月15日(金)公開


高校生の岡田卓也が出会った同級生の渡良瀬まみずは、不治の病である発光病で入院生活を送っていた。細胞の異常によって皮膚が発光するその病気は、死が近づくにつれて光が強くなり、成人するまで生存した者はいない。卓也は、病院から外出が許されないまみずに代わり、彼女の願いを実行し、その感想を彼女に伝える「代行体験」を始め、まみずは卓也との代行体験を通し、人生の楽しみを覚える。次第に2人の距離は縮まっていくが、卓也とまみずは避けることができない死の恐怖に襲われ…。

▼公式サイト
https://kimitsuki.jp/

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