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ひとりの教師が余命半年の元生徒と再会したことから動き出した“時間”と“絆”を描いた『泣くな赤鬼』。原作はベストセラー作家・重松清の短編小説だ。ささやかだが人間の営みがじわりと深く心に伝わってくる温かなこの世界で、柳楽優弥が届けたかった思いとは──

僕はまだまだこれから。
ここからまた“よーい、ドン!”で走り出します

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―― 市井の人々の“いつもの暮らし”に丁寧に寄り添う視線、決して煽ることのない静穏な語り口。映画『泣くな赤鬼』は、まさに短編小説を読んでいるかのようにシンプルに作品世界に没入できる一作だ。

「やっぱりいい作品に参加できて良かったなって。原作も人気の作品ですし、兼重淳監督は是枝裕和監督の現場で名助監督って言われていた方なんですが、そういう方の作品に大人になった今、一周回って巡り会えたのも嬉しかったです。ポイントポイントで好きなシーンもたくさんあって、奥さん(川栄李奈)と赤ちゃんと普通に話してるところとか、クライマックスのグラウンドでライバルだった和田(竜星涼)とベンチで話してるところもいいし…あ、高校生のゴルゴと和田の夜の河原のシーンも印象に残っています。良い場面がいっぱいあります」

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―― 柳楽が演じるのは元・高校球児。仲間からはゴルゴと呼ばれ野球の素質も高かったが、堤真一演じる教師で監督の小渕との行き違いから野球を辞め、高校も中退してしまった。物語は高校時代と10年後、末期の胃ガンが見つかったゴルゴの残された日々とを行き来しながら語られていく。

「まず、病気の役柄ってところでもお芝居をしっかり頑張らないとなって思いました。最初に2週間くらい撮影して、1週間くらい空いてからまた撮影、というスケジュールだったので、間にわりとしっかり体重を落とそうと思ってたんですけど…見た目のこともとても大事だと思っていたので。でも胃がんの中でもいろんな種類があるみたいで、今回描いているのは急激に体力は低下してしまうんだけど痩せすぎないのも症状のひとつだということで、落としたのは5kgくらいでした」

―― 高校時代のゴルゴを演じたのは堀家一希。時間軸をリレーしていくふたりのイメージの重なりに対し、互いに示し合わせたことなどは?

「堀家くんが自分の出番がないときも僕の撮影を見ててくれたりとか、堤さんを交えて話したり、直接コミュニケーションをとる時間を作りましたが、具体的に演技の話はしませんでした。監督が意図して演出していたところもあるでしょうし、僕が堀家くんを意識してなにかをどうこうするっていうより、堀家くんが僕に合わせる方が演じやすいかなとは思ったので、僕は自分なりにやりました」

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―― 社会人となり、堅実に働き結婚をして子供も授かった。そんなときに病院で偶然見かけた先生に声をかけたのはゴルゴのほう。かつては正面から反発し、結局遠ざかってしまった相手。そんな青春時代の苦い思い出よりも再会の嬉しさに反応するところに、ゴルゴの素直さ、優しさが感じられる。

「なんか“すごい偶然ってたまにあるよな”って、僕も生活していて感じることがありますけど、ありません? ありますよね!! 懐かしい人と急に会ったとき、ネガティブじゃなく、あのときはあんまり話せなかったけど、“今ならしっかりと話すことができる”みたいな気持ちになること」

―― 心の宿題を片付けたくなるのかも?

「ゴルゴはみんながまったく感じないって言ったら嘘になる気持ちを…だからってわざわざ行動に移さなくても良いことも多いですが、そこにいちいち反応してしまっている。特に十代の頃はこの先生のように“頑張れ”とか“努力しろ”ってことを大人に言われがちですけど、そういうとき僕自身も“でもなにをどう頑張ればいいの?”“いやもう結構頑張ってると思うんだけど”って思ってましたし(笑)。彼もそう考えたんだと思うんですよ。でも…劇中、先生は“あいつは継続する力がないんだ”とも言いますよね。今の結果だけを見るんじゃなくて、好きなことを、わかんないんだけど続けてる、続けていくっていうことも、大人になるにつれて大切なことなんだなってわかりますよね。もちろん、そこで逃げる気持ちもとってもわかるし…僕もそういうタイプだったので(笑)。それが29歳になってようやくわかるようになった。当時、全くわからなかったですけど。ゴルゴもそう。わかっていたから、また先生と話したくなったんじゃないかなと思います」

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―― 柳楽自身、大先輩・堤真一との共演も感慨深かったという。

「堤さん! ご一緒できるのがとっても嬉しかった。堤さんの出ていたドラマ『やまとなでしこ』とか、真剣に見ていたので…そういう憧れの存在の方と、先生と生徒という濃い関係で共演できるっていうのは、仕事してきて良かったなって思います(笑)。いやぁ、やっぱ、今でもかっこいいです、堤さん。“どうやったら40代、50代…ずっと第一線で活躍し続けられるんだろう”って…その秘訣を知りたいな、と思いながらご一緒していました」

―― 人生の先輩と触れ合い、家族に囲まれ、悲しければ叫び、嬉しければ笑う。そんなゴルゴの生き様には柳楽自身の人生の充実感、等身大の経験と等身大の感覚が自然と注ぎ込まれているようにも感じられた。悲しみの先に幸福がある、そんなニュアンスの作風は俳優・柳楽優弥にとても似合う。

「最近あまりこういう作品をやっていなくて…個性の強い役柄が多かったので、静かに心に響くような作品に今、このタイミングで出演できて良かったと思います。僕世代なら共感できるところがいっぱいあるだろうし、堤さん世代の方が観るとまたその視点があるなと思いますし。幅広い世代の方に観ていだたきたいです」

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―― 5月には『CITY』で5年ぶりに主演舞台を踏むなど、俳優としての研鑽を積み続ける柳楽。その活躍からますます目が離せない。

「僕はこれから。いよいよこれからです(笑)。よく“いろいろ仕事してるよね”って言われるんですけど、自分的には“いやまだこれからですよ”って思ってる。よく“俳優は30からだ”って言うじゃないですか。ホント、そうだなって。自分もじきに30歳になりますし、まさに“こっからだよな”って、すっごく考える。なので、この『泣くな赤鬼』は自分にとって“よーい、ドン!”の“よーい”ポーズですね(笑)。僕はここから走り出します。そして“柳楽、半端ないよな”って言われるくらいまだまだ頑張りますので、どうぞ応援してください!」


Writing:横澤由香

インフォメーション

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(C)2019 映画「泣くな赤鬼」製作委員会

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『泣くな赤鬼』

6月14日(金)公開


その高校教師は、陽に焼けた赤い顔と、鬼の熱血指導から“赤鬼先生”と呼ばれていた。 甲子園出場を目指し、強豪チームを率いた黄金時代から10年の月日が流れ、野球への情熱が衰えかけていたある日、かつての教え子・斎藤(愛称:ゴルゴ)と再会する。野球の素質を持ちながらも、挫折して高校を中退した生徒だった。しかし、立派な大人に成長したゴルゴは、病に侵され、命の期限が迫っていた。厳しさでしか教え子に向き合えなかったあの頃の後悔。赤鬼先生はゴルゴのために最後に何ができるのか―――。

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https://akaoni-movie.jp/

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