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三木孝浩

【三木孝浩監督インタビュー】監督作品『ほどなく、お別れです』2月6日(金)公開!

数々の青春映画を大ヒットに導いてきた三木孝浩監督の最新作は映画『ほどなく、お別れです』。とあるきっかけで葬儀会社に就職したヒロインと、指南役の葬祭プランナーがタッグを組み、「最高の葬儀」を目指していく物語。主演の2人への想いや撮影秘話などについて聞いた。

 

ⓒ2026「ほどなく、お別れです」製作委員会 ⓒ長月天音/小学館

 

■本作は葬祭プランナーの話ですが、この映画を撮ろうと思ったきっかけを教えてください。

これまでも物語の中で“お別れ”や“喪失”は描いてきたんですけど、 “自分の身にもいつか起こりうる”とここまで感じられる“別れ”は初めてじゃないかなと思うんです。誰もが登場人物の立場としても見られるし、「自分だったらどうなんだろう」とすごく考えられる作品だなと思ってぜひやりたいなと思いました。

 

■数多くの恋愛映画を手がけられている三木監督ですが、本作はいつもと違ったテーマの内容になっています。いつもと違った撮影準備などありましたか?

まずは主人公の(清水)美空と漆原(礼二)が葬祭プランナーなので、ある種“お仕事ムービー”的な一面もあって葬儀がどう行われるかのリサーチから入りました。今までお葬式に出たことはあってもお葬式がどういう段取りでどう執り行われているかが全くわかってなかったのですごく勉強になりました。普段の作品制作ではなかなかない経験をたくさんしました。

 

ⓒ2026「ほどなく、お別れです」製作委員会 ⓒ長月天音/小学館

 

■浜辺美波さんは『思い、思われ、ふり、ふられ』以来の三木組でしたが、どんな美空を演じてほしいと思って出演依頼をされましたか?

全く葬儀のことが分からない美空がプランナーとして成長していく過程の中で色々なご家族の別れを見届けながら勉強していきます。一番お客さんと近い美空の目線が大事だと思って、美波ちゃんがその場その場で自然に感じていく方がお客さんも同じ気持ちになれると思うのでキャラクターを作るというよりは自然なリアクションを大事にしてもらいました。

 

■前作では高校生役を演じていた浜辺さんが数年の時を経て今回は就活中の大学生を演じられていますが、この数年の成長ぶりをどう感じられましたか?

以前からすごく繊細な芝居をしてくれると思っていたのですが、今作の編集作業でスクリーンチェックした時に「ここまで緻密な芝居をしてもらっていたんだな」と感じました。美空は亡くなった人が見えるという設定なので目の芝居がすごく重要なのですが、ご遺族の方に対して向かい合う時と亡くなった人を見るまなざしで彼女がどう思っているかを目で表現してくれました。特に亡くなった方が旅立つ瞬間は映像として撮らずに美空のリアクションで表現したいと思っていたのですが、スクリーンサイズで見たら「今旅立ったんだな」と感じられる芝居だったので鳥肌がたちました。美波ちゃんに託した部分でしたが、自分の想像以上にそれを表現してくれました。

 

ⓒ2026「ほどなく、お別れです」製作委員会 ⓒ長月天音/小学館

 

■目黒蓮さんは今回初めてお仕事を一緒にされたと思いますが、どんな漆原を演じてほしいと思って出演依頼をされましたか?

故人と見送る側のお互いにとって区切りになる儀式をどう仕切るのか、遺族が乗り越えるために葬祭プランナーがどうあるべきかの理想の姿を演じる上で心情や葬祭プランナーの有り様をすごく大事にしてもらいました。僕がこうしてほしいと説明するまでもなく、目黒くん自身が監修として入っていただいた納棺師の木村(光希)さんに「どういう気持ちで遺族に接しているのか」や「どういうところに心を配るっているのか」を逐一確認して気にしてくれていました。段取りの時も僕がスルーしていたところを「今この場を離れる時は一礼しますよね」と提案してくれて、葬祭プランナーとしてこうあるべきと考えながらやってくれていたので助けられる部分が多かったです。

 

■葬儀プランナーとしての仕事や「納棺の儀」の所作など難しいシーンが多かったと思いますが、目黒さんのお芝居はいかがでしたか?

初手から漆原は葬祭プランナーのプロフェッショナルでないといけないので「納棺の儀」の所作などは相当練習していましたし、監修の方にどういう姿勢がいいのか、表情も笑顔になりすぎずでも柔らかさを出すのはどうしたらいいのか、ケアしている空気感はどれくらい出すのかなどを聞いて微細に演じていました。教わったことがすごく染み付いていたと思うので役作りなのか無意識なのかはわかりませんが、葬祭プランナーは葬儀中にご遺族の前では絶対に座らないのでカメラが回っていない時でも座っていなかったです。役への意識が高くてすごく考えて演じてくれていることがヒシヒシと伝わりました。

 

■目黒さんの声がすごく落ち着いていて印象的でしたが、声のことも話はされたのでしょうか?

今回、儀式の中の区切りのタイミングでタイトルにもなっていますが、漆原の「ほどなく、お別れです」という言葉で遺族の方もストンと気持ちの区切りがつけられるので、説得力がすごく大事だと思っていて遺族がそういう気持ちになれるようなニュアンスをこの言葉に込めてほしいということはお伝えしました。

 

ⓒ2026「ほどなく、お別れです」製作委員会 ⓒ長月天音/小学館

 

■浜辺さんや目黒さん以外にも森田望智さんや光石研さん、鈴木浩介さん、永作博美さん、夏木マリさんなど素晴らしいキャストが多く出演していらっしゃいましたが、今回のキャスティングにこだわりはありましたか?

それぞれに大切な人を亡くすという感情的にも難しいシーンが多かったので演技に関して信頼できる方にお願いしたいと思って、みなさん本当に素晴らしかったです。特に北村匠海くんは、“漆原が葬儀に対してどう向かっているのか” “この物語がどう進んでいくのか”が冒頭のシーンに詰まっているので、プロデューサーも含め「北村匠海しか演じることができないからお願いします!」とキャスティングしました。まだキャラクターの背景がわからない冒頭で物語にグッと引き寄せなければいけないプレシャーもあったと思うのですが、見事にこなしてくれたので「冒頭のシーンは匠海くんじゃないとクリアできなかったな」と思いました。匠海くんにお願いできて良かったです。

 

■目黒さんが「監督と浜辺さんがよくコミュニケーションを取っている姿が印象的だった」という話をされていましたが、どんな話をされたていたのですか?

映画の中で美空が一番成長するキャラクターなので、“成長度合いはどれくらいか” “新人感がどの過程でなくなっていくのか”のグラデーションに関して結構話をした記憶があります。

 

■浜辺さんも目黒さんも「三木監督の現場は穏やかで、監督が素敵な雰囲気を作ってくださた」とおっしゃっていましたが、撮影現場で心がけたことはありますか?

他の作品の時はテンション高めで「楽しもう!」という部分もあるのですが、今回はわりと静かでカメラが回っていないシーンでもみんな小声になるんですよね。もしかしたら見えてはいないけど亡くなった方がそこにいらっしゃるかもしれないという気持ちを持ちながら撮影していたので、みんなの物語に向き合う姿勢が出ていたのかもしれません。先ほども話したのですが見ている人が自分ごとに思えるような内容なので、スタッフの亡くした方への想いも作品の中に込められたらいいなと思って、亡くなった愛犬の写真を持ってきてもらったり、僕も祖父母の写真など思い出の品を持ってきて、劇中の装飾に紛れ込ませたりしました。

 

ⓒ2026「ほどなく、お別れです」製作委員会 ⓒ長月天音/小学館

 

■タイトルの『ほどなく、お別れです』がすごく良い言葉だと思うのですが、監督はどう感じられましたか?

“まもなくお別れ”という意味なので「この言葉で区切りになりますよ」という言葉ではあるんですけど、実は映画の中でもう1つの意味が語られてその意味で救われる人がたくさんいると思うんです。葬儀の話なので近々に大切な人を亡くしていたり、随分前に亡くしていてもまだ傷が癒えなくて辛さを思い出すんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかと思うのですが、“悲しみの深さ”は実は“別れた人に対する愛情の深さ”でもあります。その人と過ごした時間がいかに自分にとって大切なことかを思い出させてくれる作品だと思うので、少しでも前向きに感じていただけるといいなと思います。

 

■美空は“亡くなった人の声を聴くことができる”という家族にも打ち明けられない力を持っていますが、実はみんなが欲しいと思う力ではないかと思いますが監督はいかがですか?

日本人的な感覚かもしれませんが、法事とかお墓参りのタイミングで亡くなった方と対話している気がするんです。見えなくてもどこかにいるんだろうな、聞いているんだろうなという感覚があって。だからこそ超常現象的ではなく美空にとってはごくごく自然なことになるといいなと思っていたので、そんな気持ちで作品を作っていました。

 

ⓒ2026「ほどなく、お別れです」製作委員会 ⓒ長月天音/小学館

 

■大切な人との別れを描く中で一番大変だったのはどの部分になりますか?

大切な人を失った方の悲しみを完全に亡くすことはできないですけど寄り添えたらいいなと思っている中で、美波ちゃんと目黒くんが役の中でも遺族に対する向き合い方を何度も葬祭プランナーに聞いていたのが印象的でした。僕らもその気持ちを一番大事にしたいなと思ったので、難しいことですけど一番そこに向き合えた作品になったと思います。

 

■死に対面することは辛くて避けがちですが、この作品を拝見して少し死に対しても考え方が変わりました。監督自身は作品を撮られて考え方が変わった部分はありますか?

今回作品を撮る時に色々なリサーチをして葬儀会社の方にもインタビューをしたのですが、総じてみなさん明るかったことを知れたのが大きかったです。大切な人との別れはいずれ必ず訪れることだからこそ、接し方や向き合い方が絶対自分達と違うんだろうなと思って、そういう感覚を持っていることが羨ましくもなりました。年齢が上がっていけば別れの経験も増えていく人が多いと思うのですが、高校生くらいの若い人たちにとっては両親が生きているのは当たり前と思っている人、葬儀に参列したことがない人もたくさんいらっしゃると思うのですが、実はそれは当たり前じゃないんですよね。まだ想像できない人も自分ごととして見られる内容になっています。

 

ⓒ2026「ほどなく、お別れです」製作委員会 ⓒ長月天音/小学館

 

■最後にインタビューをご覧になっている方にメッセージをお願いします!

僕は映画を見ながら自分の記憶を辿るような作品が好きなんです。もちろん物語を追ってはいるんですけど、自分の記憶とか経験とリンクしながら人生を遡っていく作品が自分にとって心に残る作品です。今回は原作を読んだ時もそうですし、撮影中も自分が祖父や祖母と別れた時を思い出しながら作品を撮っていたということがすごく印象的でした。もちろん物語を楽しんで頂きたいですが、物語を追わずとも作品を見て周りの大切な人への思いを感じながら見るのでもいいですし、自分が旅立つタイミングで残していく人に伝えたいことをどう伝えていくのかを考えながら見る、そんな見方もあると思います。どの世代の方でも見終わった後に周りの人が愛おしいと感じることができて、温かい気持ちになれますのでぜひたくさんの方に見ていただければと思います。

 

<作品紹介>

映画『ほどなく、お別れです』

2026年26()公開

 

<あらすじ>

就職活動で連戦連敗を重ね、自身の居場所を見つけられずにいる清水美空。彼女には、《亡くなった人の声を聴くことができる》という誰にも打ち明けられない力があった。そんな美空に、運命を変える出会いが訪れる。彼女の秘密に気付いた葬祭プランナーの漆原礼二に、「その能力を活かすべきだ」と、葬祭プランナーの道へと誘われたのだった。導かれるように葬儀会社「坂東会館」のインターンとして漆原とタッグを組むことになった美空は、一片の隙もなく冷酷とさえ思える彼の厳しい指導に心が折れそうになる。しかし同時に、誰よりも真摯に故人と遺族に寄り添う漆原の姿勢に気付き、出棺の際に優しく「ほどなく、お別れです」と告げる姿に憧れを抱いていく。やがて美空と漆原は様々な家族の葬儀に直面する。妊婦の妻を亡くした夫、幼い娘を失った夫婦、離れて暮らす最愛の人を看取れなかった男。それぞれが抱える深い喪失に触れる中で、二人は「遺族だけでなく故人も納得できる葬儀とは何か?」という問いに向き合い続ける。そして美空は、漆原の背中を追いかけるように葬祭プランナーを志すことを決心し、漆原もまた、その姿に徐々に信頼感を覚えるようになる。そんな中、常に冷静で完全無欠な漆原にも心を揺さぶられる過去があることを美空は知り。自身にも、その不思議な力、そして家族との別れに向き合う時が訪れる。

 

キャスト:

浜辺美波 目黒蓮 

森田望智/古川琴音 北村匠海 志田未来 渡邊圭祐

野波麻帆 西垣匠 久保史緒里/原田泰造

光石研 鈴木浩介 永作博美

夏木マリ

 

<プロフィール>

三木孝浩(ミキタカヒロ)

2000年よりミュージックビデオの監督をスタートし、MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2005/最優秀ビデオ賞、JUJU feat. Spontania『素直になれたら』のプロモーションの一環として制作した世界初のペアモバイルムービーでカンヌ国際広告祭2009/メディア部門金賞などを受賞。 2010年、映画『ソラニン』で長編監督デビュー。以降の代表作は『僕等がいた 前篇・後篇』(2012)、『陽だまりの彼女』(2013)、『ホットロード』(2014)、『くちびるに歌を』(2015)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(2016)、『思い、思われ、ふり、ふられ』(2020)、『きみの瞳が問いかけている』(2020)、『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022)、『TANG タング』(2022)、『アキラとあきら』(2022)など。2026年3月に映画『君が最後に遺した歌』の公開も控えている。