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八木橋ゆり

【八木橋ゆり監督インタビュー】監督を務めるドラマ『女の子が抱いちゃダメですか?』が現在好評OA中!

SNSで大きな話題の累計60万部突破の人気コミックス『女の子が抱いちゃダメですか?』(通称『抱いダメ』)が現在好評OA中!本作で監督を務める八木橋ゆりに監督になるまでのキャリアや監督を目指したきっかけ、作品の見どころなどについて聞いた。

 

◾️大学卒業後に広告制作会社に入社してCMや広告映像のプランニング、ディレクションを経験されたとのことですが、広告制作会社に入社したきっかけを教えてください。

大学の時に心理学を専攻していたのですが、「どこに就職しようかな」と考えた時に心理学も活かすことができる面白い仕事がしたいと思っていました。広告はマーケティングや消費者心理を理解することが大事なので、勉強してきたことが活かせるかなというのと「面白そうだな」という興味で広告会社を中心に就活していました。映像制作の経験はなかったのですが、広告の中でもCM制作に一番興味があったので、CMを第一線で作っている会社に新卒で入社しました。

 

◾️映像ディレクターとして活動されていく中で、心理学を学んで良かったと思われたことはありましたか?

活かしていったというよりは、例えば“人が物を見る時にどこが一番目につきやすいか”とか映像の構成やレイアウトをする時に自然に心理学で学んだことを自分の考えの中の1つとして取り入れられた感じはあったかもしれないです。

 

◾️監督業に興味を持ったきっかけは何だったのですか?

入社後に初めてCM撮影現場を体験した時、思っていたより多くの人が関わっているのに驚いたし、各部署が集中して物事を作っていく姿にものすごく感動したんです。1年目の時に初めてディレクターの仕事を与えてもらって右も左もわからない時にお世話になっていた監督さんに「どうしたらいいですか?」と相談したら「監督は大きな船の操縦士で操縦桿を握っているんだよ。分からないことがあっても周りが教えてくれるから聞けばいいけど、“どこに向かっていくか”だけは監督が決めないといけないから、そこだけはしっかり自信を持ちなさい」と教えてくださって、今でも私の中で生きている言葉です。各部署のプロフェッショナル達が作り上げるものを監督がまとめ上げて映像のクオリティーも担保しながら、スタッフの士気もあげていく姿にものすごく魅力を感じました。

 

◾️制作会社に入社して監督業に興味をもち、今は監督として仕事をされている姿を客観的に見ると「すごく順調なキャリアなのでは」と思うのですが、ご自身ではどう感じられていますか?

全然そんなことないです。私は先のことを考えるというよりは目の前の選択肢で面白い方を選んできた人生だと思っているんです。面白そうだから心理学を学ぶ道に進んで、面白そうだからCM制作会社に入社して、そこでカッコ良いと思った監督を目指して、お芝居が好きだなと改めて思ったから「じゃ、映画を撮ろう」と自主映画を撮って、今のドラマやお芝居の仕事に繋がっているので、計画的に選択したわけでなく選択肢の中で面白い方を選んできて今ここにいるって感じです。

◾️映画、ドラマ、CM広告、ミュージックビデオと様々な映像作品の監督をされていますが、共通点はありますか?

リズムをすごく大事にしているところかなと思っています。例えばドラマや映画だったら人の感情の機微(きび)みたいなところを見せるのに「このカットを何秒使ったから次はこのカットを何秒使おう」という映像のリズムみたいなところを自分で意識しています。それはミュージックビデオやCMなど短い映像でも同じです。決まった尺の中でどう割り振っていくかリズム作りみたいなところは共通して意識しています。

 

◾️逆に全く違う部分はどの部分でしょうか?

作っていくプロセスが全然違うと思っています。広告やミュージックビデオは広告主やアーティストからお題を出してもらってそのお題に応えていくというスタイル。与えられたお題の中でどう料理していくかという面白さがあります。逆に(オリジナル)映画は限りなく自由なお題を白紙状態の中でどう作っていくかを考えるスタイルなので、そこが全然違うと思っています。どっちも本当に面白いんですけど、CM制作出身なので与えられたお題に対して応えながら作っていく方がどちらかというと得意なんじゃないかと思っています。

 

■好きな作品や影響を受けた監督・ディレクターはいらっしゃいますか?

CMだと長部洋平監督(主なCM「ホットスタッフ」「コカコーラ」「森永製菓」)ですね。わりとシュールなCM広告を作られる方なんですけど「笑わせるぞ!」っていう面白さじゃなくてクスッと笑ってしまうような面白い広告を撮られています。あとは早川和良監督。レジェンドですが、早川監督の代表作であるJR東海「エクスプレス」シリーズのCMには影響を受けました。ドラマや映画だと三谷幸喜さん。脚本も演出もされていますが、三谷さんが描く登場人物は一生懸命頑張っている健気さの中に思わず笑ってしまう面白さがあって、子供の頃から本当に好きな作品が多いです。

 

■撮影が続いて忙しい日々を過ごされていると思いますが、作品毎の切り替えはどのように行なっていますか?また休日はどう過ごしていますか?

切り替えに関してはあまり考えたことがなかったかもしれないです。CM現場上がりなので、編集をやっている時に次の作品の準備が始まって、常に同時に何か動いていることが今まで多かったので、空けたいというのはないかもしれないですね。「旅行いきたいな」とかは思うこともありますが、スケジュールが空くと不安になるタイプなので次の予定が埋まっている方が安心できます。映画や舞台が好きなので、休日は見ることが多いですね。本当は全部仕事のことは忘れて作品を見たいのですが、ついつい「すごく良い編集だな」とか「良い音楽だな」とか気になってしまいます。見ている最中に「こういう企画の映画があったら面白いな」って思うんですけど、映画を見る時はメモすることができないのでだいたい見終わった後に忘れちゃいます(笑)。純粋に作品を見ることが好きですけど、インプットしていくことでしか自分の引き出しが増やせないので、見ることで何か刺激を受けるというのはあると思います。

 

◾️自分だけのマイルールなどはありますか?

もちろん作品を良くしていくことが監督の一番の仕事でもあるんですけど、出演してくれた俳優さんやスタッフの皆さんに「この作品に関わって良かった」と思ってもらえる現場であることが一番大事だと思っているので、余裕のない現場でもそこをすごく気にしていると思います。今回の『女の子が抱いちゃダメですか?』はインティマシー・シーンが多く、心理的な負担が大きいんじゃないかなと思ったので、話しながら様子を見るようにしていました。みんなが「楽しかった!」と言ってくれたので良かったなと思っています。この現場は初めましてのスタッフの方も多かったので、今回は色々なスタッフの方と一緒にランチをしてコミュニケーションを取るようにしていました。

 

◾️2025年は初の地上波ドラマ、テレビCMも経験されましたが「今後挑戦してみたいことはありますか?

明確にあるのは「商業映画を撮りたい!」って思っています。色々な経験をしながらそのチャンスを虎視眈々と狙っております。

©「女の子が抱いちゃダメですか?」製作委員会・MBS

©ねじがなめた/小学館


◾️ドラマについてもお伺いします。最初に『女の子が抱いちゃダメですか?』を台本で読まれた時はいかがでしたか?

かなり攻めた内容だったので、「これをどう地上波に乗せるんだ」「すごいお題が来たぞ!」というのが第一の感想でした。原作の主題が「カップルの夜の生活」だったので、どこを見せてどこを見せないようにすると良いのかなということを考えました。ただ多くの物語では描かないところまで描いているところが新しいなと思って、お題がある方が頑張れるタイプなので「難しいお題だ!」ということに対してワクワク感がありました。

 

◾️漫画原作の作品を映像化にするあたり難しい部分はありますか?

漫画だから面白い表現も生身の人間がやるとそうじゃなくなってしまう部分もあると思うので、漫画の原作はもちろん全部拝見した上で、ドラマとして魅力的なカット割だったり、衣装や美術を考えていきました。良い意味でひっぱられすぎず、でも原作が大事にしているところは大事しながら描きたいと思いました。

©「女の子が抱いちゃダメですか?」製作委員会・MBS

©ねじがなめた/小学館


◾️
主人公の篠宮(孝之)と(梶谷)美月は見ていて愛おしい存在ですが、主演の高尾(颯斗)さん、志田(こはく)さんにはどんな風に演じてほしいという話をされましたか?

最初に2人にお会いした時にドラマの主題の「普通ってなんだろう」や「自分に悩んでいる人たちにとって救いになるようなドラマにしたい」ということをお伝えしました。あとは、どうしても夜の生活がメインになるドラマではあるんですけど、それ以上に2人の日常の可愛さや健気さが大事でそういうところを見て視聴者の方は2人を応援したいなと思ってくれると思うので、“夜のシーン”と“日常のシーン”は分けて考えて、キャタクター作りもあまりベッドの中でのシーンに引っ張られすぎずに考えて欲しいとお伝えしました。

 

◾️高尾さん、志田さんを実際演出されていかがでしたか?

2人ともすごくキュートで可愛いんです。高尾さんは普段「ONE N’ ONLY」でアイドルをされているのですが、今回は役で色々なことに挑戦してもらっているので最初に台本を読んで不安もあったと思うんですけど、全体的にすごく楽しんで演じてくれていたのでこちらもすごく救われました。スケートリンクのシーンはメタファーの世界の表現なので「今これってどういうこと?」みたいな事がたくさん起こっていたと思うんですけど、「ここはこういう行為のメタファーで実際ベットではこういうことが起こっているんですけど、今はこういうモチーフで表現しますよ」と伝えたら「めちゃくちゃ面白いですね」と爆笑してくれて。お会いする前はバキバキに踊れるかっこいいリーダーだと思っていたんですけど、撮影中に素敵な表情をたくさん見せたくれたので、高尾さんの新しい一面がこのドラマで伝わったら良いなと思います。志田さんはすごくストイックの方なのですが、集中力や芝居に対するまっすぐさが素晴らしいなと思います。良いお芝居をしたいという気持ちとインティマシー・シーンをどう見せるかは別なので悩んでいたと思うんですけど、彼女なりにすごく考えて現場に入ってきてくれたので、こちらも彼女をどう魅力的に見せられるかをすごく考えました。

©「女の子が抱いちゃダメですか?」製作委員会・MBS

©ねじがなめた/小学館


◾️
ジェンダーロールに立ち向かう、パワフルでキュートなラブコメディ!”という内容を描くにあたり一番大事にした部分はどの部分ですか?

恋愛には「こうあるべき」、「男だから、女だから」というジャンダーバイアスを考えたくなくても考えてしまう瞬間があると思うんですけど、そういうものに縛られすぎず、自分の好きなものや相手の素敵な部分を尊重することは素晴らしいことだということを主人公の篠宮と美月の関係性や成長ぶりを見ながら感じていただき、恋愛だけじゃなくて“普通”という基準を外れていても幸せに生きていく方法のヒントになれば良いなと思っています。

 

◾️作者のねじがなめたさんは「共感してね」というよりは、「第三者としてこの2人を見守って」と描いたつもりでいるとおっしゃっていましたが、監督はこの作品をどう見てほしいですか?

この作品は最終回の8話に至るまで2人がより良い人間関係を構築していくためにどうしていくかを描いているドラマなので、友達カップルを応援するみたいな気持ちで見ていただけたらと思っています。色々なことが描かれているので「こうして見てね」と言うよりは「こういう人達がいて、本人達なりにすごく一生懸命前に向かっている姿を応援したい」とか「愛おしいな」と思ってくれたら嬉しいです!

©「女の子が抱いちゃダメですか?」製作委員会・MBS

©ねじがなめた/小学館


◾️
今後の『抱いダメ』の見どころを教えてください。

今後、篠宮と美月がさらに新しい挑戦に挑んでいくので「ここまでやるんだ」と思われる方もいらっしゃると思うんですけど、2人が幸せに向かって努力していく姿は見所として見て頂きたいです。やっていることはぶっ飛んでいても2人は真剣で、「この人と幸せになりたい」という気持ちで行動しているので、その健気さにぜひ注目してほしいと思います。

 

 

<作品紹介>

MBSドラマフィル「女の子が抱いちゃダメですか?」
・MBS:毎週木曜25:29~
49()放送の6話はMBSでの放送時間が26:58~となります。
・テレビ神奈川:毎週木曜25:00~
・テレビ埼玉:毎週月曜24:00~
・群馬テレビ:毎週火曜24:30~
・とちぎテレビ:毎週水曜23:30~
・チバテレ:毎週木曜23:00~
【配信】TVerで一週間の見逃し配信あり
        FODで独占見逃し配信中

公式サイト:https://www.mbs.jp/daidame/

 

<STORY>

ついに本格的な“逆エッチ”に挑む篠宮(高尾颯斗)と美月(志田こはく)。アジェンダまで用意し、大真面目に実施を試みるが、慣れない体勢と未知の圧迫感に大パニック!それでも、不器用ながらに尽くし合おうとする二人は、自分たちらしい「幸せ」の形を見い出していく。しかし、篠宮がエッチ中に演技をしているのではと思い始めた美月は不安に包まれ、攻める側の苦悩と向き合うことに…。
さらに、幸せな二人の前に不穏な影が。後輩の佐伯(宇佐卓真)が、美月への想いを爆発させたのだ。会社のエレベーターに二人きりになった瞬間、佐伯から壁ドンで「俺じゃ、ダメですか?」と迫られる美月。
完璧超人の篠宮の代わりに“頑張らなくていい恋愛ができる”という言葉で美月をの心をかき乱す。独占欲と不安が入り混じる中、佐伯が篠宮に「正々堂々勝負させてください」と宣戦布告!?
恋の主導権争いは、まさかの三つ巴の展開へ――!

 

<プロフィール>

八木橋ゆり

大学卒業後より広告制作会社で制作の経験を経て、映像ディレクターとしてCMをはじめとする広告映像のプランニングやディレクションを担当。 初の短編映画『あなたが言うなら』では、Hollywood Best Indie Film Awardsなど複数の映画祭で入選・受賞し池袋シネマ・ロサなどで上映。「夫を社会的に抹殺する5つの方法 Re:venge」でテレビドラマ初監督。感情の機微や、複雑な人間関係を表現する演出を得意としている。