【脚本家・松下沙彩インタビュー】脚本を担当するドラマ『余命3ヶ月のサレ夫』が4月24日(金)放送スタート!

国内累計1億ビュー超えの大ヒットコミック作品『余命3ヶ月のサレ夫』がドラマ化。ある日突然余命宣告された夫が妻に愛人がいることを知り、愛する息子の未来を守るために立ち上がり復讐に突き進んでいく禁断のリベンジ・ラブサスペンス。本作のメイン脚本を担当する松下沙彩に脚本家になったきっかけや本作への想いなどについて聞いた。
◾️趣味でシナリオ講座に通い始め、初回授業の時「プロを目指すか?趣味か?」と講師に聞かれたのをきっかけに脚本家を目指したとのことですが、プロになろうと思われていたのですか?
通い始めた当初は思っていなかったです。ライターをやっていたので文章を書くことは好きでした。訳あって当時の仕事を中断していた時期、生涯の趣味を探してみることにしたんです。アニメに興味があったので背景美術を学ぼうかと講座を探していたら、たまたまシナリオ講座の存在を知りました。作画よりは適性があるかなと思ってシナリオについて学ぶことにしました。
◾️どのようなことがきっかけで脚本家になろうと思ったのですか?
シナリオ講座は現役の先生3人が1週毎のローテーションで授業をしてくださるのですが、先生達の話がすごく面白くてすぐに脚本家という職業に興味を持ちました。あとは私がシナリオ講座に通い始めたのが30代後半とけっこう遅めのスタートで、周りは「大学生の頃に映画学科に通っていて監督の経験があります」とか「若い頃からたくさん映画を見ています」という映画が好きな人ばかりで。かたや自分は最近アニメにハマってそれがきっかけでここにきてしまって、事例に出る映画も見たこともなく、経歴のハンデを痛感する日々だったのですが、講師の1人である蛭田直美先生がデビューされたのが38歳の時だったそうで「諦めないで大丈夫よ」って言ってくださって、諦めなくてもいいのかなと思うことができました。
◾️広告代理店でプランナーとして10年以上勤務された経験は脚本家として生かされていますか?
経験上「多分こういうスケジュールで動かれているからこうした方が助かるかも」と考えることはできるので、“締め切りを守る”“早めに提出する”など社会人的なマナーの方が役に立っているのかもしれないです。社会人・主婦として普通に過ごしてきた経験がメリットになる部分も多いと思います。
◾️“忘れっぽいので何でもメモしてしまうメモ魔”ということですが、書かれたメモは脚本を書く時に参考にされますか?_
好きな脚本や小説を読んだ時に“これいいな”と思ったト書きなどをメモするリストがあってそれに書き込んでいたり、映画を見る時に記録アプリに“何分の時に事件が起きる”などメモしていて、「やっぱり良い映画は10分以内に事件が起こるな」など確認しながら見てしまいます。配信作品を見る時も気になるシーンはいちいち止めて「今、何分」と測ってメモを取りながら見ているので全然集中できないです(笑)。一度見て好きになった作品は今度は何もせず見返すこともあります。時間を無駄にすることにすごく恐怖を感じるし、インプットしないと何も出てこないタイプなので作品を見る時間も無駄にはできません。

◾️休日はどのように過ごしていますか?
最近はずっと脚本を書いています。「今日は書かなくても大丈夫かも」と思う日は翌日の自分に期待して子供と遊ぶ時間を作るようにしています。子供から毎日「今日は休み?」と確認されるので、休める時は「今日は休みだよ!」と言うとすごく喜んでくれて一緒に買い物に出かけたり、愛知県に住んでいるので子供のリクエストに応えてスケートに行ったりしています。愛知県はスケートが盛んでリンクも多く、休日は家族連れや友達連れでリンクがすごく混んでいるんです。私は運動神経が良い方ではないのですが、スケートは案外得意みたいです。バランススリッパを毎日履いているのでその賜物ではないかと思っています。
◾️今執筆中で忙しいと思いますが、終わったらしたいことはありますか?
購入したアニメグッズの段ボールが部屋に山積みになっているので、終わったら開封して良き場所に飾ったり整理したいです。今は段ボールを横目に見ながら書いているので、仕事をするモチベーションの1つでもあります(笑)。
◾️今後挑戦してみたい仕事やジャンルはありますか?
アニメが好きなのでアニメの脚本を書いてみたいです。ジャンルとしては色々興味があるのですが、特に職業ものはぜひ書いてみたいです。医者や弁護士など多くの職業が映像化されていますが、まだ見つかっていない原石があると思うのでそれを探して作品にしてみたいです。

◾️テレビ朝日新人シナリオ大賞で大賞を受賞した際に「ラブストーリーは難しいのでラブストーリー以外を描きたい」と話をされていましたが、ラブストーリーを書かれてみて心境の変化はありましたか?
家族や仕事を描く作品は見ている人の感動ポイントが似ていると思いますが、ラブストーリーは人によって感性が違うし正解がないので何回書いても難しいと思っています。得意ではないですけど、普遍的なテーマですし一番需要のあるジャンルなので頑張って書かないといけないと思っています。
◾️ラブストーリーを書く時は自分の経験や友人の話などは参考にされますか?
自分の体験はどうしても反映されてしまうと思うのですが、今まで出会ってきた友達から相談を受けてきたことや「あの時、あんなことを言っていた人がいたな」と過去の色々な情報を掘り起こして参考にしています。最近はたくさんの作品を見る環境があるので、見ることで自分の中に事例が集まってきていて無意識にそういう作品からインスピレーションを受けることもあると思います。
◾️ドラマ『余命3ヶ月のサレ夫』は初のキー局連続ドラマでのメイン脚本になりますが、決定した時はいかがでしたか?
すごく嬉しかったです。今回はテレビ朝日新人シナリオ大賞の過去の受賞者メンバーで脚本を書けるのも嬉しいですし、メイン脚本を担当することになって、意気込んでいます。

◾️『余命3ヶ月のサレ夫』の国内累計1億ビュー超えの大ヒットコミック作品ですが、コミックを最初にご覧になった時はいかがでしたか?
衝撃的だし中毒性のある作品だと思いました。読者が感じたであろう魅力を理解するために “この作品がなぜ人気なのか” “どういう構成でどういうネタが出てくるのか”を気にしながら読みました。
◾️原作がある作品の脚本を書かれるのは難しいですか?
映像にする時にどうしてもたくさん障壁や制限が出ると思うのですが、見た人がそれを感じないくらい原作と同じ読後感になることが使命なので「(原作の)このシーンでやったことと全く同じにはできないけれど、同じ効果をもたらすにはどうすればよいか」についてすごく考えます。あと内容の取捨選択をするのが難しいです。でも私は漫画が大好きなので、自分なりに作品を解釈・脚色したものを映像化してもらえることや、作品の解像度を深めるためにキャラクターそれぞれの背景を付け足して考えていくことはすごく楽しいです。
◾️1人で全ての脚本を書くのと今回のようにチームで脚本を書くのは制作方法は違うのでしょうか?
チームで書くことは良いところがたくさんあります。自分の担当する話数じゃないところも含めて脚本家同士でアイデアを出し合ったり、悩んだ時もいつもだったら1人で悶々と考えなきゃいけないのですが、今回はチームのコミュニケーションツールで「これってどう思いますか?」「こっちとこっちの案を考えているのですがどっちがしっくりきますか?」とすぐに相談することができるところが良いです。逆に大変なのはキャタクター設定を考える時に1人で書く場合は自分がわかる程度のメモだけで良いけれど、今回は全員で共有できるための資料を作るフェーズが増えたこと。全員に納得してもらった上で共通認識を持って書くようにしています。
◾️自分が脚本を書かれたドラマを見る時はどのような心境でご覧になりますか?
「ここはこんな風に撮ってくれたんだ。ありがとうございます。」「あのシーンはなくなったんだ」と思いながら視聴者として楽しんでいます。同時に「このセリフの語尾はこれじゃなかったな」とか、自分が書いていなかった部分が追加されていると「全然足りてなかったんだな」と反省したり、映像を見て「監督が言っていたことはこういうことだったのか」と理解できたり。毎回すごく勉強になります。

◾️最近、多くの復讐系、ラブサスペンス系のドラマが制作されていますが、魅力はどのあたりにあると思いますか?
現代社会は倫理的に厳しく、人の目を気にしてきちんとしなければならないと感じることが多いと思うんです。そのため、ストレスを抱えて生きている人も少なくない。だからこそフィクションの世界の中でリベンジしたり、ギャフンと言わせる姿を見ることでスカッとする人が多いのではないかと思います。
◾️ストーリーが進むに連れてどんどんセンセーショナルな内容になっていくと思いますが、作品をどう見て欲しいですか?
葵と美月の拗れた夫婦がどういう結末を迎えるのか。リベンジものなのでひどいことがたくさん起こるしスカッとすることを期待して見る人も多いとは思いますが、それぞれのキャタクターに共感できる人間模様があって、良い人だと思っている人の中にも実は悪いところもあるかもしれない、そういう目線でも楽しんでほしいです。放送が金曜の夜なので1週間の鬱憤が溜まっている主婦のみなさんはもちろん、世の旦那さんたちにも「幸せだと思っているけど、自分の家庭は大丈夫かな」と思いながら見てほしいです。
<作品紹介>
ドラマ「余命3ヶ月のサレ夫」
毎週金曜日 よる11:15~/テレビ朝日系列(※一部地域を除く)
※2026年4月24日(金)スタート
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/yomeisareo/
<STORY>
大手建設会社「帝央建設」の都市デザイン部で働く高坂葵は、重要な再開発事業のコンペに向けてリーダーを任されるエリート建築士。愛する妻・美月とかわいい息子・蓮と幸せな家庭を築き、公私ともに充実した日々を送っている。
そんなある日、葵は後輩の岩崎一樹と移動中、人事部の同期・藤野真莉とバッタリ。多忙を理由にスルーしていた健康診断の再検査を受けるよう念押しされる。渋々向かった病院で再検査を受けた結果、悪性腫瘍が見つかってしまう。
しかも余命3ヶ月――。なぜ自分が…、何が悪かった…? 突然突きつけられた過酷な状況に絶望する葵の頭をよぎったのは、愛する家族のことだった。
帰宅して美月に報告しなければと考える葵だが、忙しそうな彼女になかなか切り出せない。そのうえ送ったメッセージは翌日も未読のまま…。苛立ちを募らせた葵は、夜遅く帰宅した美月を責めてしまう。激しい口論の末、美月は勢いで病気のことをぶちまけて泣き崩れた葵を抱きしめる。
しかし、一緒に病魔と闘おうと励ましたものの、内心では笑いが止まらない美月。あろうことか彼女は、勤務先のカフェのコンサルタントを担当する会社の社長・砂山ケンジと不倫中なのだ。美月は、葵を支えるどころか、ケンジと結託して葵の遺産を総取りしようと考え始める。
そんなこととは夢にも思わない葵は、家族のために前向きに闘病する決意を固めるのだが…!?
<プロフィール>
松下沙彩(マツシタサアヤ)
広告代理店でプランナーとして10年以上勤務後、プランナー・リサーチ業務や子育て・日本茶関連のメディアでライター業を開始。 2022年よりシナリオスクールで脚本を学び、翌年にエントリーした「第23回テレビ朝日新人シナリオ大賞」にてオリジナル脚本「スプリング!」が大賞を受賞。 青春・恋愛作品や、リサーチ力を活かせるお仕事モノの脚本執筆に定評がある。
【受賞歴】
■第23回テレビ朝日新人シナリオ大賞 大賞受賞(『スプリング!』)
■HUB Awards 2024 年間最優秀脚本賞受賞(「未成年~未熟な俺は不器用に進行中~」)