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三木孝浩

【三木孝浩監督インタビュー】監督作品 Amazon Original ドラマ『僕の愛しい妖怪ガールフレンド』 3/22よりPrime Videoにて世界独占配信スタート!

アメリカ人脚本家ヤルン・トゥ氏&ザック・ハインズ氏が日本独自の文化である“妖怪”と“オタク”カルチャーをオリジナル脚本で描いたAmazon Original ドラマ『僕の愛しい妖怪ガールフレンド』。3/22(金)よりPrime Videoにて世界独占配信スタートする。

本作で監督を務めた三木孝浩監督に作品について聞いた。

 

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■『僕の愛しい妖怪ガールフレンド』は、ヤルン・トゥ&ザック・ハインズ氏の脚本によるオリジナル原作になりますが、最初に台本を読まれたときの感想はいかがでしたか?

最初に企画の話をいただいて脚本を読んだときに、“海外の人が描くちょっと変わった日本”という部分がなくて、妖怪の名前や妖怪の世界の描写がすごくリサーチされて描かれていたのでびっくりしました。コメディしかりラブストーリーしかりですが、日本人が面白いと思う部分とアメリカ人が面白いと思う部分のどちらかに偏らず、みんなが面白いと思うオリエンタルなカルチャーを、変にローカライズせずに世界に向けて楽しめる作品にすることに一番面白さを感じました。

 

■三木監督は原作作品を実写化されている機会が多いと思いますが、オリジナル作品の実写化と何か違う点はありますか?

原作のある作品は拠り所があって、原作者が一番大切にしているものや良いなと思っているところを読み取って、映像に翻訳していくような感覚で作ることが多かったです。オリジナル作品は何も拠り所がない状態で作るのでいくらでも自由にできるんですが、逆に何をしてもいいと言われると何をしていいのかわからなくなるので、自分が好きなトーンやヤルンとザックが脚本の中で何を大事にしたいのかを読み取りつつ、特にキャラクターの造形や衣装はどういうビジュアルにしたら面白いだろうかと考えました。地図のないところを旅するみたいな感覚で最初は戸惑いました。

 

 

■本作はAmazon Originalの配信ドラマになりますが、劇場作品との違いで何か演出などこだわった点を教えていただけますでしょうか?またオリジナル作品ということで何か演出方法を変えたりされましたか?

圧倒的な違いは、配信の場合は世界中の人が観られる環境が日常にあるということがめちゃくちゃ魅力でした。逆に映画は劇場に入って座ってもらえば集中して観てもらえる。配信作品は軽い気持ちで観始めてもらえて、ちょっと観て面白くないとすぐ脱落されてしまうこともあるので、ずっとワクワクをキープさせるために映画とはかなり違うアプローチをしました。23分に1回、物語の山をどんどん作り続けて、後半に向けてストーリーがどう展開していくのか想像つかずにこの先何が起こるんだろうっていう興味でずっと観続けてもらえるような作品にできたらと思いました。

 

■主演の佐野勇斗とヒロイン吉川愛さんについて教えてください。

プロデューサー陣と話し合いながら、たくさんの候補の中からこれからの活躍が期待されるネクストカミングの2人をキャスティングできたと思います。

 

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■主演の佐野勇斗は映画『くちびるに歌を』以来9年ぶりに三木監督の作品に出演されましたが、久しぶりに演出していかがでしたか?

本当に嬉しかったです。『くちびるに歌を』は合唱部の子ども達の話で、演技経験がほとんどない子達がたくさんいる中で、監督というより学校の担任の先生の気分で現場で話をしながら作品を作っていました。今回久しぶりに佐野くんと仕事をしたのですが、以前は先生目線、親目線くらいの気分でしたけどすごく成長して帰ってきてくれて。主演として作品を背負う座長の佇まいや周りに気を使ったり、自分の役だけでなく作品の全体のトーンを理解して、この作品をどう導くべきかということまで考えてくれた感じがあって本当に頼もしかったですね。

 

■演出した中でも佐野勇斗の一番成長した部分と思われる部分はどこですか?

今回はコメディやアクション、ラブストーリーを描く中でかなり振り切ったお芝居をしなくてはいけない部分があったんですけど、変顔でコミカルさを際立たせる部分とせつなさで見ている人の感情を揺さぶらなくてはいけない部分の振り幅のバランスがすごく絶妙だったなと思います。彼の人の良さがお芝居から滲み出ていました。

 

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■他のキャストのみなさんで印象に残っているキャストはいらっしゃいますか?

秋から冬の夜の京都で、すごく寒い地面が凍るような場所で撮影した吉川愛さんのアクションシーンは本当にカッコよかったです。(北村)有起哉さんも天廻という難しい役を楽しんでやっていただけました。なかなかああいう感じのキャラクターができる人はいないのですごいなと…。出てくる登場人物がみんな濃いキャラクターだったのですが、キャストが遊びながらノリノリで演じてくれるので、楽しさが詰まった現場っていいなと思いました。反町(隆史)さんもカッコよかったです。コメディは癖になりそうです(笑)。

 

■制作過程で「前人未踏の山を登るような困難と戸惑いの連続だった」とおっしゃっていましたが、一番大変だった部分はどこですか?

一番は今まで見たことがない作品だったので、制作陣と作品のトーンやビジュアルなど共通のイメージ作りをすることが一番大変でした。山登りで例えると、どういうルートで登って行くのかのいうルート選択が一番難しかったです。イジーのキャラクター一つにしても「妖怪といってもどういう格好をしている?和風マーベル?」というアイデアを出しながらデザインを色々と書いていただいて、ヤルンとザックにも見せながらお互いが良いと思うものを選択して進めていきました。選択しなければいけない事が原作が有る場合と比べて段違いに多くて、クランクインするまでの時間がない中、多くのことを決めなくてはいけないことが一番大変でした。

 

 

■今回オリジナル作品を手掛けて楽しかった部分はどこになりますか?

全部楽しかったです。改めて思ったのは、原作がある作品は「こういう描写があるのでこう演出しよう」と頼っていた部分があることを再発見して、もしかして今まで楽をしていたのかなと思う部分もありました(笑)。オリジナルは自分の中にあるものを引っ張り出さなくてはいけないのですごく大変ですが、完成してみて“01にする面白さや出来上がった後の達成感や充実感があってオリジナル作品をやって良かったなと思います。言葉では説明できないものを映像と音楽で表現できる手法はいくらでもあるなと感じたので、次もエンターテイメント作品として作っていけたらと思っています。

 

■3月22日よりPrime Videoで世界配信されますが、日本独自の文化である“オタク”カルチャーと“妖怪”をどのように楽しんで欲しいと思われますか?

どう見えるんですかね?今回作品を作るにあたって日本のオタクカルチャーや妖怪などファンタジーな部分は海外の人から“こう見られるんじゃないかな”、“じゃ、それを面白がらせるためにこう作ってみよう”という想像をしながら作りました。もうすぐ配信されますが、いろんなジャンルをギュッと詰め込んでエンタメに振り切った作品を作りながらこんなに楽しめた作品はなかなかなかったので、ぜひ早く観てその思いを共有してほしいです。間接的にヤルンとザックからは面白かったという感想は聞いているのですが、このあと直接2人と話す機会があるのでどう作品を見てどう感じたかを生で聞くのをすごく楽しみにしています。

 

■最後に作品の見どころを教えてください。

アクションやラブストーリーなどいろんなジャンルが盛り込まれていて老若男女どなたでも楽しんでいただける作品を目指して作ったので、とにかくたくさんの人に観てもらいたいです。撮影現場でいろいろ楽しめたのは脚本の面白さがすごくあったからだと思うので、ストーリーを本当に楽しんでほしいです。たくさん出てくるキャラクターがグルーブして、それぞれのストーリーの絡み合いをしっかり描くことができて楽しめるのはドラマ作品ならではだと思うので、その部分にも注目してほしいです。

 

 

<作品紹介>

Amazon Original ドラマ『僕の愛しい妖怪ガールフレンド』

322()より、Prime Videoにて世界独占配信

 

<あらすじ>

恋人が欲しくて仕方ないゲームオタクの大学生・ハチ(佐野勇斗)と、500年越しの復讐の使命を背負った美しい妖怪の女の子・イジー(吉川愛さん)が出会い、なし崩し的に「男女の契り」を交わしたことから始まる。男性と肉体的な関係を持つことでしか生き延びるためのエネルギーを得られない妖怪のイジーと、彼女に強く迫られ関係を持ってしまった主人公・ハチ。ある人間一族への復讐を果たすために殺人も厭わないイジーに対して、ハチはなんとか穏便に問題を解決しようと奮闘する。そんな2人の奇妙な関係と復讐劇に周囲の人々が巻き込まれていく、バトルアクションあり、ミステリーありの、ユニークな妖怪ラブコメディ。

 

<プロフィール>

三木孝浩(ミキタカヒロ)

2000年よりミュージックビデオの監督をスタートし、MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2005/最優秀ビデオ賞、SPACE SHOWER Music Video Awards 2005BEST POP VIDEOなどを受賞。以降、ショートムービー、ドラマ、CM等、活動を広げる。 JUJU feat. Spontania『素直になれたら』のプロモーションの一環として制作した世界初のペアモバイルムービーでカンヌ国際広告祭2009/メディア部門金賞などを受賞。 2010年、映画『ソラニン』で長編監督デビュー。 長編2作目となる映画『僕等がいた』(2012)が、邦画初の前・後篇2部作連続公開。 また、「連続ドラマW 闇の伴走者」(2015)では、初めてミステリーにチャレンジし高い評価を得た。

その他の代表作は『陽だまりの彼女』(2013)、『ホットロード』(2014)、『くちびるに歌を』(2015)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(2016)、『思い、思われ、ふり、ふられ』(2020)、『きみの瞳が問いかけている』(2020)、『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022)、『TANG タング』(2022)、『アキラとあきら』(2022)など