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川崎僚監督作品・映画『Eggs 選ばれたい私たち』トークショー!



川崎僚監督作品・映画『Eggs 選ばれたい私たち』のトークショーが4/13(火)テアトル新宿で行われ、寺坂光恵さん、川合空さん、松本花奈と共に川崎が登壇した。

同作は、子どものいない夫婦に卵子を提供するエッグドナー(卵子提供者)をテーマにした映画。
監督の川崎僚は、自身の経験や体験を織り交ぜなら、結婚や出産を希望していない30歳目前の女性、そしてレズビアンの女性という対照的な2人の人物を通して、社会から求められる女性像と実像のずれに悩みながらも、それでも「母になりたい」と願う彼女たちを等身大に描いてみせた。また同作は、2018年タリン・ブラックナイツ映画祭で日本映画唯一のコンペティション作品に選出。同年の招待上映作品「万引き家族」とともに、日本の社会問題を扱った話題作となった。

派遣で事務の仕事をしている近藤純子(29)(寺坂光恵さん)は独身主義者。将来、結婚する気も、子どもを産む気もない。しかし、このまま独身を貫き、10年後20年後に子どもを産まなかったことをいつか後悔するのかもしれないと考え、その後悔が少しでもやわらげばと思い、エッグドナーに登録することにした。
エッグドナーとは、子どものいない夫婦に卵子を提供するドナー制度のこと。プロフィールを提出して、選ばれれば、ハワイやマレーシアなどの海外で卵子を摘出し、謝礼金がもらえる。年齢制限の30歳までわずか数ヶ月だったが、純子は登録することにした。
その登録説明会で、純子は偶然、従姉妹の矢野葵(25)(川合空さん)に再会する。彼女は恋人と別れて同棲していた家を出て、行くところがないという。その恋人というのが女性だと知り、驚く純子。レズビアンの葵に対して「偏見はない」と伝えるが、ぎこちない雰囲気になってしまった。
そんな葵に、エッグドナーに登録したことを母親に内緒にする代わりに居候させて欲しいと言われ、純子は断れなかった。こうして、二人の奇妙な共同生活が始まった。
久しぶりの再会ということ、そして葵の少しワガママな態度から、二人の生活はなかなかうまくいかなかった。そんなある日、二人は偶然、同じ時期に生理になった。
葵が「生理はムダだ」というのを聞き、純子はレズビアンの葵も自分も子どもを産まない=女性としての役割の一つを果たさないという意味で、同士であることに気付いた。
それをきっかけに、二人は意気投合し、ともにエッグドナーに選ばれ、遺伝子上の母になることで、生物学上の女としての義務を果たそうと誓い合ったのだが…

上映後に行われたトークショーにて川崎は、「平日の夜、大変な時期にも関わらず、こんなにたくさんの方にお越しいただけて本当に嬉しく思っています。今日は女性4人のトークということで、ぜひアフタートークも楽しんでいっていただけたらと思います。よろしくお願いします。」と挨拶。

ゲストの松本花奈とはこの日が初対面だといい、「実は事務所の先輩でもありまして、作品はいろいろと拝見していました。」と明かした。

同作のタイトルについて、「2018年にエストニアのタリン・ブラックナイツ映画祭に行ったときに『wasted eggs』というタイトルにしまして、“Wasted”が“もったいない”という意味なのですが、どうも私たちに馴染みがないので、『wasted eggs』だけだとお客さんに来てもらえないよねということで、“Eggs”の後に副題で“選ばれたい私たち”と入れました。(タイトルが)ちょっとネガティブだという意見もあるのですが、私は逆にそれがいまの空気感みたいなものを表しているような気がしています。」と語った。

主演を務めた寺坂光恵さん、川合空さんは短編映画のときから出演しており、「寺坂さんは『ロープウェイ』という短編映画を観て、私たちの等身大を演じてくれて共感できる女優さんだと思ったのと、川合さんは共通の知り合いがすごく多くて、その佇まいがすごく葵らしいなと思って声をかけました。お二人との初めましては、オーディションというより一対一でお茶をしまして(笑)、この映画の脚本や役の話、テーマについても話して賛同してもらいました。」と振り返った。

その後、松本から“純子と葵の性格が全然違っていいなと思いました。川崎監督は役柄を自身に投影されていましたか?”と問われ、「純子はほぼ私そのものです。この前のアフタートークで初めて知ったのですが、寺坂さんが途中から私を意識して演じていたらしくて。葵に関しては、自分がエッグドナーの登録会に参加したときに、トランスジェンダーの方で“この体に生まれてきたけど、それを役立ててから受け取ったお金で性転換手術をしたいんだ”という方がいらっしゃったと話を聞いて、すごくかっこいいな、もし近くに居たら友達になりたいなと思ったんです。それで、純子の凝り固まったところをほぐしてくれるような破天荒な子がいたらいいなと思って、葵が誕生しました。」と話した。

また、松本が“二人の意見がちゃんと一致したら仲良くなるんだろうけど、そううまくはいかないという感じがもどかしくて切なくなりました”と感想を述べると、「人間ってなかなか一致できないというか、でもそこがまた愛おしいなと思っていて。この二人を友達なのか仲良いのか悪いのか分からないとおっしゃる方もいるのですが、(あえて)そこを目指していたというか、人と人との関係性に分かりやすい名前をつけたくないなと思っているんです。また、私たちって例えば恋人、家族とか分かりやすく自分自身と相手をカテゴリーにはめたがるなと感じていて。でも、二人だけにしか分からない関係性もあっていいんじゃないかと思いますし、それをこの映画で体現したかったです。」と明かした。

そして同作について、“結婚とか子育てって自分にできるのかな?と思い初めていたときに観たので、すごく救われました。いろいろな道や考え方があるんだということを知れて良かったです”と松本が川崎に伝えると、「そう言っていただけてすごく嬉しいです。30代になるまで本当に苦しかったんですよ。映画漬けでいるのが私の人生の価値基準だったので、周りが私のことを思って“結婚して今産まないと大変よ”と言ってくれると本当に辛くて。でも、それと似たような悩みがある人がいて、そのみんなの心が和らいだり、癒されるような映画になったらいいなと思っていました。結婚していたり、パートナーがいる幸せもあるし、お子さんがいる幸せもあるし、それに優劣はないと思うんです。私たち女性が戦いあう意味はなくて、お互いがお互いの良さをちゃんと認め合えればいいなと、それが伝わる映画になっていれば嬉しいです。」と語った。

映画『Eggs 選ばれたい私たち』はテアトル新宿ほか公開中!
ぜひご覧ください。

■公式サイト
https://www.eggs-movie.com/
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